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短編2
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トイレ裏

友達(A)の話

小学生の頃、Aは父親によくドライブに連れて行ってもらった。

6年生のある日いつも通り夜のドライブをしていた。

目的地は地元の山奥にあるH湖。着いたのは夜の10時ぐらいで、駐車場には自分達しか居なかった。月明かりで明るい夜だった。父親と二人で湖畔を散歩していると、Aが用を足したくなった。周りを見ると登山道の入口にトイレを見つけた。いかにもお化けが出そうなトイレだったので、父親と二人で連れションした。

用を足してると、車の音がした。車から人が降りる音がした。どうやら一人じゃないらしい。走り屋でも来たのかと思ったが、足音はトイレには入らずに、トイレの裏側に向かった。ちょうど今いる壁の向こう側。男の声がした。どうやら二人組らしい。不信に思い父親は「シーッ」と合図し音を立てずに出ようとした。すると男の声が聞こえた。『ここに埋めておけば大丈夫じゃね』『深く掘らねーと臭いでバレる』。ドサッ…ザックザック…。

父親は音を立てないように最小限の動作でAを抱えて自分の車まで走った。たどり着くまでの約10分間父親は生きた心地がしなかったとのこと。かなりのスピードで家まで向かった。父親は車の中でズーッと「ヤバイ…ヤバイ…」と繰り返していた。もちろんAも震えが止まらなかった。

後日、悩みに悩んだ末、父親は警察に通報した。捜索したが穴を掘った形跡はあるが死体は発見されなかった。                その後Aは親の都合で引っ越した。

今年の新年会でこの話題が出た。Aの話には続きがあるという。

あの日以来Aの父親は何かに怯えていたらしい。Aにも「あの話は忘れろ!誰にも話すな」と口止めしたという。死体が出なかったのはAも知っていたし、父親がなんで怯えているのか、なんで話してはダメなのか問い詰めた。

父親は「トイレの外に車があっただろ。助手席の窓が少し開いていて、そこから煙草の煙が見えた。男はもう一人いたんだ。死体が出ないってことは、俺達に気づいているに違いない」と。

それから程なくAの一家は引っ越した。

怖い話投稿:ホラーテラー ハイジ朗さん  

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