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短編2
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午前11時 予定通り手術開始

手術前までは夢のことが脳裏を何度も過ぎったが、開始とともに夢も忘れ手術へと集中していく、かなり腫瘍が脳を圧迫しているのがわかる…。

バイパスになる血管を縫合し脳を傷を付けないように慎重に摘出していく。

予想より癒着も少なく順調だ。

腫瘍完全摘出!トータル八時間!早い!予想よりかなりの好成績だ!(自分的に)

術前に最悪の展開も想像していたので、かなり満足いく結果だった。

最後の閉頭は助手の先生に任せて医局へもどり、手術の達成感を味わっていた俺は、いつのまにか眠って…

「待たせてゴメンね!」

「遅いよ!雪で遭難しそうだったよ(笑)

冷たくかじかんだ彼女の手を……

「先生!!」

医局員の声で目を覚ます

たのむから起こさないでくれ…何回この夢がここで途切れてしまうのか…。

「脳波が普通じゃないです!」

「普通じゃないって?何が普通じゃないの?」

「とりあえず早く来て下さい!」

手術は完璧だったはずだ、何が起こっているの?

「なんだ!!?この波形は?」

まるで死人のように動いていない…

心電図は正常か…

何か失敗した覚えはない、自分自身、完璧な手術だった。何かが起こっている?もう、意識レベルが戻っているのか?ありえない……

術後出血も認められない…

なぜだ!??

ん………………………頭が

割れそうに……痛い………

立ちくらみが………………

意識が………遠のく………

「待たせてゴメンね!」

「遅いよ!雪で遭難しそうだったよ(笑)

冷たくかじかんだ手を握り締めキスをした……

冷たく震えた唇から彼女の気持ちが伝ってくる…

この女性は俺の彼女だ!

何年間も付き合っている!

初めて、キスをした日の夢!

「意識が戻りました!」

「〇〇先生!!」

「〇〇先生!私がわかりますか?」」

いつも見ている、後輩のドクターが叫んでいる…うるせーな…

「俺は?ここは?!」

目の前には彼女が俺の手を握り締め笑顔で泣いている

「手術の後、ずっ〜と眠り続けていたんだよ」

「俺が眠り………?」

「何度も何度も呼んだよ!」

「出会った頃の夢を何度も見ちゃうから、もう目覚めないような気がして心配だったんだから……」

出会った頃の夢…同じだ…

…そうだ…俺は突然、目眩におそわれ……

ん…頭が痛い……

長い長い夢を見ていたようだ…

彼女のオペなんてしたことはない…夢の中で彼女を自分に置き換えて戦っていたのか……?

それとも彼女が夢の中に助けにきてくれたのか…?

いつも客観的に仕事(診療)をしてきた

腫瘍による脳の圧迫、そのことによる超自然的な現象の話は聞いたことはあったが、まさか自分自身にもあるとはね……それも悪夢ではなく彼女との夢か〜

「待たせてゴメンね」

「お帰りなさい♪」

俺は震える彼女を抱き寄せキスをした。

怖い話投稿:ホラーテラー Joker参上さん  

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