大学時代の話。
友達にMという子がいた。
大学に入ってから知り合った私達だが、なにかと気が合い、よくお互いのアパートに泊まりあったりしていた。
ある日、いつものように私はMの家にお泊りに行った。
取り留めのない話で盛り上がり、気づけばもう夜中。
私「やっべぇ、明日1限必修じゃんw起きれないよ」
M「例え起きても、あんたは行かんやろw」
留年ギリギリの私をからかいつつ、Mはベッドに、私は床に敷いた布団に入り眠りについた。
どのくらい眠ったかはわからないが、ふと私は目を覚ました。
あたりはまだ暗い。
「Mを起こさなきゃ…」
寝ぼけてボーっとした頭で、なぜか私はそう思い、ベッドで寝ているMを起こした。
ハッとしたように目を開けたMは、私の顔を見て急に泣き出した。
その涙を見て焦った私は「ゴメン起こしちゃって…」と謝った。
なんで起こしたんだろ、寝ぼけてたんか?なんて考えながら。
するとMは首を振った。
「違うの、あのね…」
少し落ち着いたMは、微かに震えていた。
「今ね、金縛りにあってて、女の人が近づいてきてたの…」
まさかの言葉に寝ぼけた頭が一気に覚める。
私「…夢じゃね?だってM、寝てたし」
M「怖いから目つぶってたんよ。でも気配でわかるやん?」
わかるやん?と言われても、私にはまったく霊感がない。
見たことも感じたこともないし、金縛りにあったことすらないのだ。
Mを起こした時だって何も見えなかった。
首を捻っている私に構わず、Mは続けた。
「動けんし声も出んし、私ずっと心の中であんたの名前呼んどったんよ。
助けて!って。そしたらホントに助けてくれた」
びっくりした。
私が「Mを起こさなきゃ」と思ったのは、Mが心の中で助けを求めていたからなのか?と。
この事を言うと、Mは「以心伝心やねぇ」と微笑んだ。
Mはよくこういう怖い体験をするらしく、彼氏と一緒に寝てる時にも同じことがあり、心の中で彼氏の名前を呼んだが彼氏は爆睡したままだったらしい。
(その時は気合いで身体を動かし、自力で生還したそうな)
なんだか感動した私達は「友情パワーやね!」と盛り上がり、朝まで喋った。(そして私は必修を落とした)
偶然で片付けられる話ではあるが、私はMとの絆が生んだ奇跡だと思っている。
幽霊に気付かない私が、Mの心の声に気付いたのだから。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名MAXさん
作者怖話