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短編2
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現場の苦労

ある解体現場での話

カーン、カーン……

男は鶴嘴(つるはし)を地面に叩き続けていた

この現場で作業を始めて3日目…

男の苛々はピークに達していた…

元々、男は何かを造る仕事がしたかった……

皮肉にも今は真逆の仕事をしている…

男「ちっ!!こんな事して何になるんだ!!!」

男は遂に鶴嘴を投げ捨て、地面に座り込んだ……

男「どうせ壊したところで、また新しい物を誰かが造るんだろ!?何の為に俺達が汗水垂らしてこんな事しなきゃならねーんだよ!」

男は日頃から溜まっていた思いを吐き捨てた……

そんな男に、屈強な体つきをしたこの現場の責任者が近づいた

男「親っさん……」

親っさん「まぁ、そう言うな…」

「お前の気持ちはよく分かる……俺も若い頃はそんな風に毎日イラついていた…」

男「親っさん…、俺にはもう何が正しいのか分かりません…造っては壊し…また造っては壊す…人間って奴は何を考えているんでしょうか?」

親っさん「そうだな……、そういえば、ここにまた新しい建設案が出ていたな…」

男「ほらみろ!結局壊したところで何の意味もない!!誰も俺達の苦労を知ろうともしない!」

親っさん「昔な、お前みたいに自暴自棄になった奴がいたよ…そいつも、この終わりのない作業の繰り返しに耐えられなかったんだろうな……」

男「そいつの気持ち……、スゲー分かります」

親っさん「でもな、そいつはこの仕事を辞めてすぐに死んだよ…、俺達には結局この仕事しかないんだよ……分かるか?」

男は俯きながら頷いた…

親っさんはニッコリと笑い、自分の首に巻いていたタオルで男の額の汗を拭ってあげた……

親っさん「頑張ろう!この現場ももう少しじゃないか…!」

男達は仕事を再開した……

自分達のプライドの為に…

カーン……カーン………

現場には、また鶴嘴が地面を叩く音が鳴り響いた…

時を同じくして……

「あら〜、進んでますね…」

「じゃ、削りますね〜痛かったら右手上げて下さい!」

こうして、俺達が壊した歯はまた歯医者によって治される…

今日、歯医者に行った時に思い付いた妄想でした……

もし、口の中でこんな事が起きていたら……と考えると、虫歯には気をつけたいですね

今、虫歯がある方……大丈夫ですか?口の中から何か聞こえてきませんか?

ありがとうございました

怖い話投稿:ホラーテラー 猛壮さん  

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