知り合いの体の中に、命に枯渇した何かが入り込んだせいで急激に生命力を吸収されて数日間でありながら、数年分の時を経過させられたので髪や爪が伸びきったのです。
僧侶が気を集中させると部屋中からパキッ……パキッ……パキパキッと木が乾燥するような音が響きだしました。
頭の中にパソコンのビジョンが映りました。
信徒にお願いして机に設置された、既に起動されているパソコンの操作をお願いします。
マウスに触れると画面はインターネットオークションで落札した商品のページでした。
落札した商品は古めかしい特注の鋳物で造られたような小箱と鍵でした。
小箱は鍵で蓋が開かないようにロックできる細工が施してあるようです。
箱を見て僧侶が「なんというものを…」と言いかけていると部屋中の壁を思いっきり叩く音がし始め、部屋のドアが勝手に開け閉めを繰り返し始めました。
僧侶は怯える信徒を励まして、知り合いを連れて外に出るように言います。
僧侶がドアを体で抑えている間に信徒は知り合いをおんぶで抱き上げて部屋を出ます。
その瞬間に、ドアは勢いよく僧侶を部屋に閉じ込めるように閉まりました。
信徒がドアを開けようとしても全く開けることができませんし何度呼びかけても返事がありません。知り合いを抱えながら外に出た信徒は携帯でお寺に連絡をします。
事情を知った御住職様が、タクシーに急いでもらい十分程で到着しました。
先程の騒音は嘘のように鳴り止んでいます。
家の中に再び入り、部屋を開けると僧侶の姿はありません。僧侶は部屋に押し戻されると床に倒れ込み、そのせいで腕から数珠が転げ落ちると箪笥が開いて数珠が中へ吸い込まれるように入っていきました。
倒れ込んだ目の前は信徒の知り合いが座っていた場所で、どうやら座って箱を隠していたようです。手を伸ばして箱を取りました。
既に先手を打たれ仕組まれた罠でしたが命よりも大切な数珠を手離すわけにはいきません。
箪笥の闇で額から顎まで直径80cmはあるかと思われる巨大な顔と無数の腕が姿を現すと僧侶の袈裟を無数の腕が掴み箪笥の闇の中へ引っ張っていきました。
何故あのような物がオークションに出されたのかわからないが鋳物の箱の中身は戦時中に爆弾や地雷で吹き飛んだ誰のかわからない人の肉片と骨の欠片をかき集めて、つぎはぎで繋げた膝から下のどす黒く変色した左足が箱に入っています。→7
怖い話投稿:ホラーテラー シルキーデイさん
作者怖話