短編2
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虫の知らせ

あらかじめ言っておきますが怖い話では無いです。

これは僕の友人Iが体験した話です。

その日Iは酷い吐き気を催し胃の中の物をすべて吐き出しても治まらなかったそうです。

当然、口に何か入れても吐き出してしまう状態だったので脱水症状にだけはなるまいとスポーツ飲料を少しずつ飲みソファーに横になっていたそうです。

夜になると40度近い熱が出て気持ち悪さと相まって寝ていることすら困難になっていました。

(明日になれば…病院に行ければ点滴をしてくれて楽になれる…)

そう思いながら必死に朝になるまで我慢していたそうです。

短い感覚で寝て起きてを繰り返している状態…

いつのまにか彼は自分が寝ているソファーに寄りかかって座っている『何か』に気づきました。

そして会話をしたらしいんです。

彼はその『何か』と世間話している最中になんとなく思ったそうです。

(ああ…俺、このまま死ぬんだな…)

恐怖は無く運命を受け入れるような感覚…

その時です。

その『何か』がまるで成仏していくようにフワッと消えてしまったそうです。

時計を見ると病院の始まっている時間でした。

Iは父親に頼んで病院に連れて行ってもらい治療を受けたそうです。

ちなみにその『何か』ですが今でも見当がつかないしそもそも朦朧とした意識だったので夢なのか現実なのかすらわからないそうです。

友人が体験した話は以上です。

その体験をしてすぐに僕達と同じ中学でIと部活が一緒だった友達のS君が交通事故で亡くなりました…

その体験とまったく関係ないかも知れないですが僕達はその『何か』はS君だったのかなって思います。

怖い話投稿:ホラーテラー トキさん  

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