短編2
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見ている女

Aは大学生で、今日も授業が終わり帰り道を歩いていた。

Aの帰り道は周りにマンションが林立する細い道で、夕方になれば人通りは少なくなる。

いつものように帰り道を歩いていると…Aは誰かの視線を感じた。視線を感じた方向に目を向けると、マンションの7階くらいからだろうか?赤い服を着た女がAを見ていた。

女はAと目が合っても何ひとつ表情を変えない。Aは女に何かを感じたが目を反らしそのまま歩き続け、家に着いた。

Aはその夜は何故か落ち着かなくて眠れなかった。

翌日Aが帰り道を歩いていると、再びあの女が見ている事に気が付いた。

Aは気持ち悪さを感じたが、無視する事にした。

その日、家に帰ったAは、ある事を思いついた。それは「俺が明日、いつもより遅くに帰ればあの女と目が合う事はないかもしれない。二日前と昨日は、同じ時間に帰ったから女と目が合っただけだろう。時間をずらせばあの女もいないだろう。」と。

翌日Aは、いつも帰る時間より二時間遅れて帰った。

Aはいつも女がいたマンションに目を向けた。女はいた…まるでAが帰って来るのを待っていたかのように…またしても女はAを見ている。

Aは背筋が凍った。Aは「何故あの女は俺をいつも見ているんだ?しかも俺の帰って来る時間を分かっていたかのように待っている。」と不気味に感じた。

そして家に着いたAは、今日の事は流石に気持ち悪かったので、「明日、女の部屋を訪ねる。」と決心した。

翌日、Aは帰り道を歩いていた。マンションに目を向けるとやはり女が見ていた。Aは恐怖を感じながらも女のいるマンションに入っていった。

A「外から見た感じはこの部屋で間違いないな。」

Aはベルを鳴らし、女が出て来るのを待つ。女は出て来ない。何度も鳴らすがそれでも女は出ない。

A「いるはずなんだけどな。」

そう思いAがドアノブに手をかけたところ、ドアが開いた。

A「…え!?鍵かけてないのかよ。」

A「すみませーん。すみませーん。」

だが女からの応答はない。そしてどうしても今回の件をはっきりさせたかったAは、非常識なのは分かっていたが、部屋へと足を踏み入れた。奥へと進むと女がいた。

首を吊っている女が。女は窓の外を向いて首を吊っていた。

A「…!大丈夫ですか!!」

女にかけよるA。しかし次の瞬間女がAの方を向き、微笑んだ。…不気味な微笑みで…

Aは背筋が凍り付きその場に座り込んだ。そして床に這いつくばって、悲鳴をあげながら玄関へと逃げるA。

もう少しで部屋から出られるというその時だった。

Aの悲鳴と共に、ドアはゆっくりと閉じた…

怖い話投稿:ホラーテラー 黒猫さん  

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