Aは大学生で、今日も授業が終わり帰り道を歩いていた。
Aの帰り道は周りにマンションが林立する細い道で、夕方になれば人通りは少なくなる。
いつものように帰り道を歩いていると…Aは誰かの視線を感じた。視線を感じた方向に目を向けると、マンションの7階くらいからだろうか?赤い服を着た女がAを見ていた。
女はAと目が合っても何ひとつ表情を変えない。Aは女に何かを感じたが目を反らしそのまま歩き続け、家に着いた。
Aはその夜は何故か落ち着かなくて眠れなかった。
翌日Aが帰り道を歩いていると、再びあの女が見ている事に気が付いた。
Aは気持ち悪さを感じたが、無視する事にした。
その日、家に帰ったAは、ある事を思いついた。それは「俺が明日、いつもより遅くに帰ればあの女と目が合う事はないかもしれない。二日前と昨日は、同じ時間に帰ったから女と目が合っただけだろう。時間をずらせばあの女もいないだろう。」と。
翌日Aは、いつも帰る時間より二時間遅れて帰った。
Aはいつも女がいたマンションに目を向けた。女はいた…まるでAが帰って来るのを待っていたかのように…またしても女はAを見ている。
Aは背筋が凍った。Aは「何故あの女は俺をいつも見ているんだ?しかも俺の帰って来る時間を分かっていたかのように待っている。」と不気味に感じた。
そして家に着いたAは、今日の事は流石に気持ち悪かったので、「明日、女の部屋を訪ねる。」と決心した。
翌日、Aは帰り道を歩いていた。マンションに目を向けるとやはり女が見ていた。Aは恐怖を感じながらも女のいるマンションに入っていった。
A「外から見た感じはこの部屋で間違いないな。」
Aはベルを鳴らし、女が出て来るのを待つ。女は出て来ない。何度も鳴らすがそれでも女は出ない。
A「いるはずなんだけどな。」
そう思いAがドアノブに手をかけたところ、ドアが開いた。
A「…え!?鍵かけてないのかよ。」
A「すみませーん。すみませーん。」
だが女からの応答はない。そしてどうしても今回の件をはっきりさせたかったAは、非常識なのは分かっていたが、部屋へと足を踏み入れた。奥へと進むと女がいた。
首を吊っている女が。女は窓の外を向いて首を吊っていた。
A「…!大丈夫ですか!!」
女にかけよるA。しかし次の瞬間女がAの方を向き、微笑んだ。…不気味な微笑みで…
Aは背筋が凍り付きその場に座り込んだ。そして床に這いつくばって、悲鳴をあげながら玄関へと逃げるA。
もう少しで部屋から出られるというその時だった。
Aの悲鳴と共に、ドアはゆっくりと閉じた…
怖い話投稿:ホラーテラー 黒猫さん
作者怖話