家までの帰り道とてつもなく長く感じられた。
「おかえり」
母の声がこんなに安心出来るなんて。
2階の自分の部屋に行きベットに寝転がる。
ズボンに違和感を感じポケットの中身を取り出した。
…あの時Aに差し出されて迂闊にも受け取っていたようだ。
顔の表情とか服とか細かな物は無い。
シンプルな作りの人形は所々汚れていた。
その汚れは俺の血に違いない。
……
ゴミ箱に投げ捨てようかと思ったがAの言った言葉を思い出す。
「貴方の分身」
俺はBに電話をかけた。
「だから言っただろう。あいつはかなり危ない奴だ。そんなもんとっと捨てろ。オカルトマニアなだけだよ」
……捨てれないから電話してんだろ〜が。
ボソボソと耳障りな話し声が聞こえる。
よく聞こえないな。
苛々する。
はっきり喋ろ。
苛々する。
心地よい風が吹いてきた。
誰かの髪が俺の頬をくすぐる。
天然パーマのぐるぐる。
「やあ。こんな所で何してんの?」
「鳥さんがね貴方とお話したいって。髪の毛ちょうだいって」
!!!
身体中から汗が吹き出ていた。
いつのまにやら眠っていたようだ。
起き上がろうとした手に何かが触れた。
人形だ…勘弁してくれ。
俺は一体どうしちまったんだ。
翌朝俺はAに会いに隣のクラスに向かった。
Aは何事もなかったように俺の顔を見微笑んだ。
俺のズボンのポケットを
ツンツンしながらこう囁いた。
「こんな所に持って来たらダメだよ」
そして声に出さず
ア・ト・デ・ネ
そのタイミングに合わせるかのようにチャイムが鳴った。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話