初投稿です。文章力が無く、誤字脱字あると思うので苦手な人は見ないでください。
俺には、好きな人がいる。
片想いだろう。彼女は俺の行動はまったく気にしていない。
ほとんど諦めかけていた。
机に突っ伏していた俺に、友人は一言。
「諦めたいんなら諦めればいい。でも、そこで諦めるっつー事は所詮そんだけの想いだったっつー事だ。」
「そんな想いじゃ、無いだろ?」
ただのベタな一言。
だが、その一言は俺に余るほどの勇気をくれた。
そして、その場で決める。
「俺は…告白するよ…。」
友人は何も言わず、痛いくらいの力で背中を叩いてくれた。
準備はととのった。
その日、偶然校舎を出る時彼女と会った。
…気不味い。俺は自分から話しかけた。
「…今日はこっちなのか?」
「え?あ、うん。今日はこっちなんだ。」
…無言。しかし、時は過ぎてゆく。
目前に校門が見えてきた。
「じゃあ、私はこっちだから…。」
言わなければ。せっかく友人の気持ちが無駄になる。
言わなければ。
「ちょっと待ってくれ!」
「えっ?な、何かなっ?」
なんとか呼び止めれた。
あとは言うだけだ。
たった四文字の気持ち。
「好きです。」と。
…どれほどの時が過ぎただろう。
やっと覚悟した、その時。
「俺は、お前の事が…」
「あっ!もうこんな時間!明日でもいいっ?」
「お、おう…わかった。」
なんて情けないんだ。
彼女はゴメンねーと言いながら去ってゆく。
そして彼女が完全に見えなくなった時、俺はガックリと肩を落とす。
…ハア、情けない。
あの空気なら内容もバレバレだろう。
だが、そんな考えも無駄になる。
目の前が…真っ暗だ…。
担任は…何を言ってるんだ…?
「○○さん(彼女)は…昨日の夕方、帰宅途中事故にあい、道路に飛び出した子供をっ、助けて…、お亡くなりになりました…。」
気が強い女性担任が泣いている…。
お亡くなり?事故?飛び出し?
…しん、だ?
頭が真っ白だ。うまく喋れない。
友人は俺に近寄り、そっと俺の肩に手を置いた。
あの日からちょうど一年。
俺の時は止まったままだ。
しかし、自分自身は確実に悪い方向に進んでいた。
あの日から、酒・タバコはもちろん、ドラッグにまで手を出そうとしていた。
そのせいで、成績はガタ落ち、学校では不良扱い。
様々な病気にもかかりやすくなった。
その日も、俺はいつもの様に教室を出、いつもの様に校舎を出、いつもの様に学校を出ようとしていた。
しかし、門の前でふと立ち止まる。
そう、この場所は一年前、俺が告白しようとした所。
「…ハハ、そう言えば…アイツ…死んだんだっけ?」
抑揚の無い声でそう呟く。
そして、振り返る事無く、再びその場所から歩き出す。
歩き出して数分。もう学校から300mは離れただろう。
頬を伝ったのは、一筋の涙。
その瞬間、俺は学校に向かって走り出した。
何故?
今さら戻っても遅い。
もう彼女はいない。
もう戻ってはこない。
学校まで一分もかからなかった。
着いた校門には、誰もいない。
もう、誰もいない。
俺は泣き崩れた。
恥ずかしいと思わなかった。
ただただ、自分に腹が立った。
あの時。
あの時俺が彼女をもう少し。
もう少しだけ止められたら。
彼女は死ななかったのか。
何の想いも伝えられなかった。
俺は涙が枯れるまで泣いた。
その日、俺は彼女があの日通った道を通って帰っていた。
ただ女々しいだけかもしれない。
俺は無言のまま、歩き続けた。
十分程たったあと、彼女が事故にあった場所に着いた。
道端には花が添えられていた。
それを眺めていた時だった。
子供がつまずき、道路に飛び出た。
運命
と言うものは、基本的には信じないが、この時ばかりは心の中で笑ってしまった。
俺は無我夢中で飛び出した。
目前には車が迫っている。
しかし、その寸前に俺の手が子供に届く。
(ああ、間に合った…)
そう考えた次の瞬間、鈍い音と激痛が俺を襲った。
だんだん意識が薄れてゆく…
視界が狭くなってきた…
でも、まあきっと彼女も褒めてくれんじゃね?
光が失われてゆく、その中でも温かさがあった。
誰かに抱き締められている、すぐにわかった。
力を振り絞って目蓋を少しだけ開いた。
目に映ったのは、今はもういないハズの彼女。
「頑張って。恭弥(俺)なら、きっと大丈夫だから」
優しい声で励ましてくれる。
夢である事はわかっていた。
幻想である事はわかっていた。
それでも、
自分の気持ちを伝えよう。
「俺は、お前の事が好きだ」
彼女は一瞬驚いた様に目を丸くしていたが、すぐに笑顔になった。
目に涙を溜めていた。
「ありがとう…。
私は今、凄く嬉しいです。」
嗚咽まじりの声で語る。
そして、ゆっくりとした動きで、彼女の特徴の羽根つきのヘアピンを俺の手に握らせた。
「私は、恭弥の言ってくれた事、絶対忘れない。
だから、恭弥も忘れないで。」
俺は無言で頷く。
そして、最後に笑って
「ありがとう。」
と言って彼女は消えた。
…ょ……
…ょ…や!!
恭弥!!
俺の意識は覚醒した。
視界には白い壁。
いや、多分天井だ。
「恭弥…よかった…!!」
側から聞こえたのは母親の声。
記憶を照らし合わせた結果、俺がいる所は病院のベッドの上。
側には心配して見守る親族。
すげぇシチュエーションだなオイ…と考えながら、母に俺が助けた子供の事を聞いた。
子供はかすり傷だけで、全然問題無かったらしい。
それよりも皆が驚いたのは俺の方だった。
時速60キロは出ていたであろう車と衝突して、頭蓋骨にヒビと骨折だけである。俺自身も驚いたが、すぐに夢の内容を思い出す。
手には彼女のヘアピンがあった。
自然に笑みと涙が同時に溢れた俺に家族が不思議そうにしていた。
彼女は、俺を守ってくれた。
あれから8年。
俺はちゃんと生きている。
心を入れ替え(タバコは無理だった)、遅れた分を取り戻すため必死に勉学に励んだ。
結果、なんとか高校は卒業し、現在はファッションデザイナーをやっている。
あの時彼女に貰ったヘアピンは、常時付けている。
これを付けていると、彼女が隣にいてくれるような気がするから。
彼女がくれた、
生きる『希望』だから。
怖い話投稿:ホラーテラー ハイハイワロスワロスさん
作者怖話