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短編2
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凄腕?訪問販売員

先程、2人の訪問販売員が来た。1人は初老の男性、もう1人は10歳くらいの男の子。

玄関前で2人の姿を見て、「宗教勧誘だな」とピンときた。

「俺、宗教やらんから、悪いけど他を当たってちょうだいな」

ドアを閉めようとすると、男が話しかけてきた。

「宗教ではありません。お客様を幸せにする商品をお届けに参りました」

俺「何?印鑑?表札?いらんな、失礼する」

「それは悪徳業者の常套手段ですよね。私達は幸せになる『コーヒー』をお届けに参りました」

男は鞄からパンフレットと袋入りのコーヒーを取り出した。パンフには途上国の子ども達?の笑顔の写真が載っていた。

「コーヒーの売上の一部は、恵まれない人々の為に使われます。さらにコーヒー自体にも不思議な力があって、この子の病気も治りました」

男に頭をポンと叩かれると、

「お兄ちゃん、飲んでみて、幸せになろ」

男の子が笑顔で俺を見つめた。

なるほど、同情させて商品を売る戦略か。俺自身もコーヒーは飲むし、男の態度も好印象をもてたので、購入を決め値段をたずねた。

「1ヶ月分3万円でございます。有難うございます。幸せになりましょうね」

俺「3万!?高いわ!無理無理。やっぱやめるから他当たって」

「えっ?どういうことですか?大変なことになりますよ。大丈夫ですか?」

男の表情が一変した。俺はそんな大金ないと告げた。

「あなた様は恵まれない人々にささやかな手助けをする気もないのですね。私は悲しいです。人間として」

俺はこの言葉にプッツンしてしまった。男が更に話し始めたのを遮って、ありったけの罵詈雑言をぶちまけた。余りに酷い言葉使いだったと思うので、内容は省略する。

結果、男は販売をあきらめ、

「またご縁がありましたら、よろしくお願いします」

と言い残し、2人で歩き出した。

俺はドアを閉めたが、2人の会話が聞こえる。

「俺の取り分は?俺もう眠い」

「うるさい!飯くって次いくぞ」

あんなに小さい子どもが販売を仕事として認識している。あの言葉も笑顔も演技だったのだ。

俺は怖くなった。

彼らの次の訪問先は、君の家かもしれないよ。可愛い子どもの笑顔と、お願いをかわせるかな?

怖い話投稿:ホラーテラー ガッツいちもつさん  

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