貧乏神

家にとり憑き、人間を貧困に追いやってしまう・・日本各地に伝わる神・・・それが「貧乏神」(びんぼうがみ)である。
昔話や、随筆、落語などで名が登場する。現代では、TVゲームや、漫画などでも多く登場する。
貧乏神の姿は、基本的に、老人のような姿をしており、痩せこけた体で、顔色は青い、薄汚れたような風貌で表現される事が多いようである。
いろいろな貧乏神がいるが、どの貧乏神も、怠け者を好んでとり憑くという。
家に取りついたら、押入れを好んで住み着くと言われている。
貧乏神は、味噌汁が好物と言われており、団扇をもっているのは、味噌汁を扇いで、その香りを楽しむためだとされているようだ。
退治などは、神なのでできないが、追い払う方法はあるようだ。
新潟では、大晦日の夜、囲炉裏で火を焚くことで、貧乏神が熱がり、逃げていくと言うが、それにより、暖かさを好み、福の神がやってくるという話があるようだ。
愛媛県北宇和郡津島町(現・宇和島市)によると、囲炉裏の火をやたら掘ったりすると、貧乏神が出ると言われている。
・『貧乏神が登場する古典による物語』
江戸時代の奇談集『兎園小説』により「窮鬼(きゅうき)」
文政4年(1821年)、江戸には年中災い続きの家があった。
とある武家に仕える男が、草加へ出かけ、一人の僧と出会い、知り合う事になった。
男が僧に、どこから来たのかと聞くと、今まで、男の使えていた屋敷にいたというのだ。
しかし、男は、僧を屋敷でみたことがないと言うと、僧は笑いながらこう言った・・「あの家には病人が続出しているが、あれは全て貧乏神である私の仕業だ。あの家は、貧窮極まってしまった、だからほかの家へ行く。今後、あなたの主人の運は上へ向く」と言って姿を消したのだそうだ。
そして、その言葉どおり、男の仕える家は、運が向いてきたのだそうだ。
・津村淙庵の随筆『譚海』
昔、とある家の者が昼寝をしていたところ、ボロボロの服の老人が座敷へと入ってくる夢をみた。
それ以来、何をやってもうまくいかなくなったのだそうだ。
4年後に、再びあの老人が夢に現れたが、そこで、家を去ることを告げられ、貧乏神を送り出す儀式として「少しの焼き飯と、焼き味噌を作り、おしき(薄い板の四方を折り曲げて縁にした角盆)に乗せ、裏口から持ち出し、川へ流す」、そして、今後、貧乏神の招かないための手段として、「貧乏神は味噌が好きなので、決して焼き味噌を作らない。また、生味噌を食べるのはさらに良くないことで、食べると、味噌を焼くための火すら燃やせなくなる」と教えられたのだ。
その通りにすると、それ以来、家には窮迫することがなくなったという話。
井原西鶴『日本永代蔵』より「祈る印の神の折敷」
嫌われ者の貧乏神を、とある男が祭ったところ、七草の夜、貧乏神が枕元に現れ、「お膳の前に座って食べたのは初めてだ!」と大感激され、そのお礼に、お金持ちにしてくれたという話である。
ほかに、江戸の小石川で、貧乏暮らしをしていた旗本が、年越しの日、ずっと貧乏だったが、悪いことは特におきなかったのは貧乏神のおかげだとして、酒や米を供え、貧乏神を祀り、貧窮を免れて福を分けてもらうよう言ったら、そのご利益が多少あったのだそうだ。
祈る印の神の折敷での話での貧乏神は、人間に対して、比較的友好的に書かれているようだ。
『貧乏神への信仰』
『日本永代蔵』の貧乏神は、貧乏を福に転じる神とされており、現在、東京都文京区春日北野神社の牛天神の脇に「太田神社」として祠が祀られている。
東京都台東区にも、妙泉寺に、ハドソンのゲームでもある、桃太郎伝説、電鉄シリーズでのデザインがモチーフの貧乏神が祀られている。

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