狐火

狐火と聞いてもピンと来ないかもしれないが鬼火と言いかえればなんとなく聞き覚えはあるだろう。
鬼火は日本各地に伝承として残っている火の気のないところ、定番でいうと墓場等に発生する謎の怪火であり火の玉とも呼ばれるものである。その怪火が何の原因で発生したかに関わらず全てを総括したものが鬼火であり、その中でも狐が作り出す鬼火こそが狐火である。火の色は地域や伝承によって様々で青いものから橙色のものまであり、江戸時代に描かれた浮世絵では暗闇の中で狐が沢山集まりまるで提灯かのように列をなして橙色の狐火をを照らしているものがある。この狐火の言い伝えでは狐火に触れたことによって高熱を引き起こしたというものや、夜道に狐火に追い掛け回されたというような悪い伝承から狐火に道を案内してもらったという良い伝承まで残されている。
つまり狐が照らす光が狐火ということになるが、ではどうやって狐は光を灯しているのかという疑問がわく。それには諸説があり「狐が人骨や古い牛や馬の骨を含んで吐く息が光っている」「狐が尻尾を使って火を起こしている」「狐の持つ狐火玉が光っている」などがある。
個人的に押したいのは「狐が人骨や古い牛や馬の骨を含んで吐く息が光っている」という説である。その理由を説明していく。
狐の妖怪は日本に多く存在する。白狐や善狐、空狐など様々な種類が存在するがその中でも九尾の狐が有名だろう。それでは何故狐の妖怪の伝承がたくさん残されているのかというと、昔は狐が魔法の力があるという迷信が存在しそこから奇妙な言い伝いがいくつも生まれてきたという説がある。狐の妖怪には人に化けるという能力を持っている、前述した九尾の狐は若いのに博識でで美しく天下一の美女などと称される玉藻前に化けて鳥羽上皇に寵愛されていたが鳥羽上皇が病に伏せてしまう。そしてその病になった原因は玉藻前であると陰陽師によって見抜かれ変身をとかれてしまうという話がある。玉藻前が絶世の美女であったという伝承が残っているように狐が化ける対象として想像しやすいものは若く綺麗な女性だ。妖怪が人を騙すのには魅力的な女性に化けるのは好都合だろう、それに狐に限らずとも絡新婦なども必ずしも人を騙し取って食うためというわけではないが美しい女性に化けるという話が多数残っている。
そしてその狐が女性に化ける方法は伝承によると古い牛の骨や馬の骨を拾ってきて口にくわえる。するとその骨が光を放ち女の姿が浮かび上がるというものだ。そこからよその女性を嫁にする際にその男の両親がつれてきた女性にたいしてその女は狐が馬の骨を使って化けた女ではないか(その女に騙されているだけではないのか)と疑いをかけて「どこの馬の骨を拾ってきたのだ」とその男に尋ねるのだ。
そしてその、狐が狐火をともして女に化けるという伝承から歌われた狂歌が
火ともして 狐の化けし 遊び女は 何処の馬の 骨にやあるらむ というものだ。
この狂歌は美しい娼婦を見て皮肉ったような狂歌で、あの女は美しいが狐が狐火を灯して化けても同じぐらい美しいのだろうからあの女もその狐が化ける際に使うどこかの馬の骨と同じようなものだろうといったようなないようである。昔は遊女に対して差別的でそこからも狐が化けるのに使った馬の骨と同一の身分だということが言いたい狂歌である。
このような狐火を使った狂歌は複数あり「狂歌百物語」に狐火以外にも様々な妖怪の狂歌が存在する。

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