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UMAは世界各地で目撃されている。我々が未だ把握できていない生物がこの世にはまだまだたくさんいるのである。そんなUMAの一種が日本にも生息しているのではないかと言われている。岩手県山形村で見つかった足跡の主といわれる「ガタゴン」もそのひとつである。
「ガタゴン」の存在が噂されるようになったきっかけは1992年のとある事件である。ある日、村の住人がいつものように畑仕事をしていたときのことである。畑に見慣れない足跡を発見したのだ。それは、近くに住んでいるどんな生物の足跡とも違っていて見たことのないものであったと言う。大きさは22センチほどで幅15センチ、指は4本しかなく、20メートルほどの距離にわたって数十個の足跡が残っていたそうだ。このことを奇妙に思った村の人々は、その正体を突き止めようと地元の町役場や愛知県にある日本モンキーセンターにも問い合わせてみた。しかし、結局のところその正体はわからずに終わってしまったのだ。
この事件がきっかけとなり、岩手県山形村には謎の生物が住んでいるのではないか、新生物の発見かと、たちまち日本中で騒がれることとなった。
そして岩手県では、その生物の名を「ガタゴン」と名付けて捜索されることになった。結局めぼしい生物は見つけられなかった上に、今までその足跡以外に有力な情報はないものの、足跡の発見によって村は大騒ぎとなった。そんな「ガタゴン」ブームに乗るようにガタゴンのキーホルダーや足跡Tシャツを販売するようになり、さらには近くの道の駅に「ガタゴン」の卵を模したオブジェを飾るようになった。周辺には、足跡の模型や複製などが飾られ、芝生も足跡に沿って刈られており、その大きさや特徴を知ることができる。そして駅の名前に「ガタゴンサライ」をつけるなどこの足跡の発見を活用して村おこしを行ったのだ。
またさらに興味深いことに山形村では「ガタゴン」を村のシンボルに据えて、毎年一回「ガタゴン祭り」を開催している。祭りの日には、伝統的なナニャンドラ流し踊りが踊られ、ご神体である「ガタゴン」の卵を神輿に担いで村中を練り歩く行事として村の一大イベントになっている。地元の伝統に新たな「ガタゴン」という UMAの存在が融合した形である。毎年多くの人々が集まって、楽しいイベントとなっている。
このようにいつしか「ガタゴン」は、存在しているかどうかに関わらず村のシンボルとなり、村おこしに一役買うこととなった。現在でもお祭りは毎年開催されているが、「ガタゴン」の存在は今に至るまで謎のままである。当時の足跡は霊長類学者の間で今もなお研究されているが、山形村に生息しているどの生物の足跡とも違っていてまさに謎の足跡である。
そして実はこの「ガタゴン」は1930年代にも同じような足跡の目撃情報があったことが当時の地方情報誌の存在で明らかとなっている。また、地元では古くから謎の生物の存在が噂となっていた。2度にわたる足跡の発見に、古くからの目撃情報があることからも、「ガタゴン」はまだ確認されていない振動物の可能性も多いに秘めている。今はまだ発見されていないものの、近い将来には新たな生物の発見として再び「ガタゴン」が世間に注目される日が来るかもしれない。