1972年8月下旬、高知県介良(けら)村(現在の高知県高知市介良)で、複数の中学生達がUFO(未確認飛行物体)に遭遇、捕獲したとされる事件。
(事件の内容)
1972年8月下旬の夕方、中学生の友達グループ数人が田んぼで遊んでいた時、正体不明の小さな物体が田んぼの上を飛び回っているのを目撃した。
初めはコウモリかと思ったが、その飛び方はコウモリとは明らかに違っており、瞬間移動するような飛行を繰り返していた。やがてそれは着陸したように見えたので、その場所へ近づいてみると、そこには銀色に鈍く輝く物体があり、青く点滅する光を放っていた。そのUFOは人を呼びに行っている間に忽然と消えうせたという。
UFOはほぼ同じ場所でその後も何度か目撃されている。それは空中を飛行していることもあり、地上約1mのところに滞空していることもあった。それはいつも青っぽい色に点滅しており、少年達はその光をたよりにUFOを追いかけたという。
そして9月中旬、9人の少年がUFOを”捕獲”した。
彼らはそれを家に持ち帰り、いろいろと調べてみた。
その物体は、灰皿をさかさにしたような形をしていて、表面は鋳物のような鈍い銀色、直径は約18cm、高さは約7cm、重さは約1.5キロあった。
特徴的なのは底面の模様であった。外周にはレコードの溝のようなものが同心円状に何本か刻まれており、中央には1辺5cmほどの正方形の中に直径5mmほどの穴が多数開いていて、そのまわりには、青海波(波がいくつも重なった、伝統的な日本の図柄)と千鳥のような模様が刻まれていた。
底面の穴から中を見ると、ラジオか無線機の部品のようなものが詰まっていたという。
少年達はさらにいろいろと実験をしてみた。
堅いもので叩いてみたが、傷一つつかなかった。
底面の穴から水を入れてみたが、いくら入れてもいっぱいにならず、あふれてくることはなかった。
こうした実験をしている最中、突然、裏蓋が開き、中の部品のようなものが見えた。
その後、彼らはUFOをナップザックに入れておいたが、いつの間にか消え失せていたという。
その後も彼らは、UFOを何度も捕獲した。UFOが逃げないよう、ビニール袋に入れて口をしっかり縛っておいたり、箪笥の中に閉じ込めておいたり、厳重に保管していたが、そのたびにUFOは、いつの間にか消え失せたという。
少年達は最初に捕獲した時にUFOにしるしをつけており、どのUFOにもそのしるしがあったとされている。これが事実であれば、捕獲されたUFOはすべて同一のものということになるが、真相は不明である。
捕獲されたUFOは少年達だけでなく、大人数人も目撃している。
少年のひとりの母親は、ナップザックを透してUFOが点滅しているのを目撃している(ただし、UFOそのものは見ていない)
また、少年達は、少年のひとりの父親である高校教師にこのUFOを見せたが、「これは煙草盆(キセル用の灰皿。江戸時代によく使われていた)を造る時に使う鋳物だ」と言って信じてくれなかったという。この教師によると、その時はUFOは光っていなかった。
このUFOの写真は一枚しか無く、しかもぼけているため、確実な証拠とは言い難い。また他に物証も無いため、少年達の作り話とみなす懐疑派の人達もいる。その仮説によると、UFOは先の教師の言うとおり、煙草盆の鋳型であり、そうしたものを拾った少年達が、UFO話を創作したというのである。実際、現場近くには鋳物工場が複数存在する。さらに”波と千鳥”は煙草盆によく使われる図柄であり、底に穴のある形状も煙草盆そのものなのである。
ただし、捕獲されたUFOと同一の煙草盆がそうした鋳物工場で作られていたという裏付けはとられていない。
また、母親がナップザック越しに目撃した光の点滅が何だったのかという謎は残る。
出典/参考資料
『UFO事件簿/介良事件』http://giga.world.coocan.jp/ufo/history/kera.html
(介良事件ついて非常に詳しく書かれており、現地の地図も掲載されている)
『My X-files by モルダー龍馬』http://www.youneeds.com/xfiles/ufo/kela_ufo_catcher.htm
(筆者は事件当時、当事者の少年達を取材しており、そのレポートが掲載されている。)
『Wikipedia/介良事件』
『UFO大百科』(東京大学UFO研究会編、勁文社)
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