1975年2月23日の午後6時30分頃、甲府市の山城小学校2年の児童2名が、甲府市上町の日の出団地付近でUFOと宇宙人を目撃したとされる事件である。複数の目撃証言と物証がある数少ない事例として、日本では最も有名なUFO・宇宙人目撃事件のひとつである。
【事件の経緯】
同じ上町に住む親戚同士の河野君と山畠君が、河野君宅近くの雇用促進住宅上町宿舎の敷地内でローラースケートをして遊んでいると、東の方にある達沢山上空のあたりにオレンジ色に光る物体が2つ現れた。そのうち一方はまもなく北の方向に向きを変え遠ざかっていったが、もう一方の飛行物体はだんだん近づいてきて、2人の頭上まで迫ってくると、上空で停止したという。下から見ると、その物体は円形をしており、底部にくるくる回る3つの装置がついていた。
2人が驚いて見ていると、円盤の底部から黒い筒のようなものがするすると地上に伸びてきて、カメラのシャッターをきるようなカシャッ、カシャッという音がした。
2人は恐ろしくなり、ローラースケートを脱ぐと近くの福王寺の墓地に身を隠した。円盤はしばらく上空にとどまっていたが、前の一機と同様に北の方向に飛び去って行ったという。
そのとき時刻は午後6時半頃で、すでに辺りは暗くなっていた。2人が家路に着こうとブドウ畑の近くを通りかかると、またもオレンジ色の光が見えた。光は明滅を繰り返していたが、やがて光が弱くなっていくとともに銀色の物体が現れたという。
2人が恐る恐る近づいて見てみると、それは直径2.5m、高さ1.5m(一説によると直径5m、高さ2.5m)ほどの大きさで、ドーム型の下に皿を逆さにしたような本体部分のある円盤型だった。色はステンレスのような銀色で、ドームと本体の間には四角い半透明の窓があり、側面には奇妙な文字が5つ描かれていた。
しばらくすると、円盤のドアが開き、中から不気味な顔をした宇宙人が降りてきた。身長は130cmほどで、顔は茶色で全面に深い横じわが走っており、口のあたりに銀色の牙があった。耳は尖ってうさぎのように長く大きく、真ん中には穴が開いていた。銀色に光る服を着ており、腰にはベルトをし、肩には銃のようなものを下げていたという。
さらに、円盤の中にはもう1人小柄な宇宙人が操縦桿のようなものを握って座っていたという。
このとき河野君と山畠君はそれぞれ反対側で円盤を観察していたのだが、反対側で音がするので山畠君がそちらに向かって歩いていくと、後ろからポンポンと肩を叩かれた。振り向くと、そこには例の宇宙人が立っており、テープレコーダーを早送りしたようなキュルキュルという声を発したという。山畠君は恐怖のあまり腰を抜かしてしまうが、宇宙人があたりを観察している隙に、河野君が背負うようにしてその場から逃げたという。
その日は日曜で、河野君の家には一緒に夕食をとるために山畠君の両親も来ていた。息を切らせて帰ってきた児童の話を、両親は最初真に受けなかったが、2人があまりに真剣な様子だったため母親たちが外に出て見ると、ブドウ畑の中にオレンジ色に光る銀色の物体がくるくる回っているのが見えた。
その数分後、父親たちも駆けつけたが、そのときには光は消えかかっており、次第に闇の中に吸い込まれるように見えなくなったという。
【事件の調査】
その後、児童の話を聞いた学校の校長先生を通じて地元の新聞社に報告がなされた。新聞社の協力により現地調査が行われると、ブドウ畑では高さ1.7mのコンクリート柱の1本が折れ、他の1本が著しく損傷を受けていることがわかった。また、それらの支柱を覆っていた金網は、重い物を乗せたように大きく広がっており、地面には数ヵ所の穴が開いて、リヤカーの轍のような痕跡も残されていたという。
さらに、同市の県立機山工高電気科教諭の前田技師が数日後に現場で放射能測定をしたところ、微量ながら通常よりも高い人工的な残留放射能が検出されたという。
【その他の目撃証言】
事件が公表されると、いくつかの目撃証言がでてきた。
河野君宅から東に300mほどのところにある環境センター管理人の厚芝さんは、同日6時半頃センターの中にいたが、犬がしきりに吠えるので外に出てみた。すると、東の空に明滅する物体が飛んでいるのが見えたという。一番星よりも明るく大きく、飛行機でもない妙なものだと感じたという。
また同じ頃、車で近くを通りかかった保険外交員の佐藤さんは、道の真ん中に2人の子供のような人影を目撃している。車が近づいても全く避けようとしないので訝しく思っていると、そのうちの1人が佐藤さんの車のフロントガラスに手をつけ、顔をぐっと近づけたという。その顔はこの世のものとは思えないほど醜悪で気味が悪いものだったという。到底信じられない出来事であったため、佐藤さんは家族以外の誰にもこのことを話すことなく、事件から7年後の1982年に初めて公に話している。
また同じ頃、現場の北側にある国道20号線を走行中の車から、小学2年生の少年とその母親が、雇用促進住宅上町宿舎の方角の上空に青白い発光体が行ったり来たりしているのを目撃している。
同じく午後7時頃、常光寺住職が南の空にジグザグ飛行をしたあと急降下して消えていく青白い光を目撃している。
【備考】
目撃された宇宙人がウルトラ怪獣のバッド星人と似ているとの指摘がある。
また、当時ブドウ畑の40箇所以上から採取された土壌のサンプルがどの地点のものか記録されておらず、高い数値が得られたものがUFO着陸地点のものか特定できないと言われている。また、当時高いとされた放射線量も自然界のレベルを超えるものではないとの指摘もある。
しかしながら、複数の大人による目撃証言もあることから、日本では稀に見る第3種接近遭遇事件と位置づけられている。
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