ワシントンDCといえば、大統領府であるホワイトハウスや国会議事堂などがあり、世界の大国アメリカの中枢部である。当然、警備体制はいつの時代も強固そのもの。厳重な警戒態勢が24時間敷かれている。許可なく、領域上空に侵入しようものなら、即座に迎撃される可能性が高い。ところが、そんな防衛システムなどあざ笑うかのように、ホワイトハウスや議事堂の上空が怪しい飛行連隊にやすやすと侵犯される事件が発生した。トルーマン大統領時代の1952年のことだ。
7月19日の23時40分、アメリカ、ワシントン国際空港の航空管制センターのレーダースコープ上に突然、7つの光が出現した。何の前触れもなく、群れをなして。
当初、管制官は、機械の故障だと思った。なぜながら、この怪光は吸い込まれるように消滅したり、猛スピードで外枠へ消えたかと思うと、テレポートしてきたかのように、スコープ中心に現れるなど、不思議な動きを繰り返したからだ。
この様子はワシントン空港の管制塔や、ワシントン郊外になるアンドルーズ空軍基地のレーダーにも捉えられていた。同空軍基地がスコープ上の光の動きから飛行物体の速度を割り出したところ、当初時速200キロ前後で動いていたが、時速1万1700キロにまでスピードアップしたという。
飛行物体は、付近を飛んでいた旅客機の搭乗員や乗客らにも目撃されていた。航空機を追いかけるようなそぶりを見せ、ホワイトハウスや国会議事堂上空領域にまで侵入を繰り返したという。その後一度は消滅したようだが、ほどなくしてスコープ上に出現し、挑発的な飛び方を繰り返した。
そこで午前3時、ついに米軍が行動に出る。2機のF94戦闘機に迎撃を命じたのだ。その瞬間、飛行物体の姿が消えた。しかし午前5時半、F94戦闘機が捜索を打ち切ると同時に再出現。威嚇飛行した後、飛び去っていったという。
市民の通報もあり、事件は翌朝にはマスコミに知れ渡った。しかし、空軍情報部は説明を拒否。情報開示について、激しい議論が続いた。突然現れたUFOの大群。気ままにワシントンDC一帯を飛行したが、そのコースには許可なくしては決して侵入できないホワイトハウス上空も含まれていた。トルーマンからは着陸命令に従わない場合、F94戦闘機によって撃墜する命令さえ出されていた。しかし、UFOの連隊は軍のレーダーに捕捉されはするが、F94が近づくと姿を消して移動し、まるで空軍を鼻であしらうような飛行を続けた。
また、ワシントンDCでのUFO出現騒ぎは1週間後の7月26日にも起こっており、その時も空軍の戦闘機が出撃していた。UFOは大群で国会議事堂周辺に出没。戦闘機が接近してようとすると、補足不可能なスピードで遠ざかったり、急停止やジグザグ飛行で翻弄するなど、とても空軍戦闘機のかなう相手ではなかった。
UFOの大群が議事堂の上を気ままに飛び交う様子は、多くの一般市民も目撃。その様子を撮影するのにも成功したが、米政府はいまもこの写真撮影された光の大群をUFOだと認めていない。国会議事堂のバルコニーランプの光を反射だとして片づけたのだ。その陰で、危機感を抱いたトルーマンは、世界的物理学者のアインシュタインに相談したともいわれている。アインシュタインの答えは、無理に戦いを挑んでも先進的な異星人にはかなわないから、戦いは避けろという内容だったという。
事件を受け、マスコミ取材陣は空軍情報部に詰めかけ、さらに厳しく真相を問い詰めた。しかし空軍の発表は「自然現象」というもの。信じるものはいなかったが、うやむやになってしまった。事件からすでに60年以上が経過した今なお、真相は闇の中だ。
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