この事件は1989年11月30日にアメリカ合衆国ニューヨーク州マンハッタン島ロワーイーストサイドで発生したアブダクション(宇宙人による拉致)事件である。
この事件で宇宙人と接触したのはニューヨーク市民であるリンダ・ナポリターノ(45才)
彼女は20代の頃に宇宙人によってアブダクションされた疑いを抱いていたため、1989年の4月よりUFO研究家のバド・ホプキンズに依頼し、自ら逆行催眠による記憶の再生を試み始めた。そして治療をはじめてから7ヶ月後の11月末には、再び彼女の身にアブダクションが発生がしたのである。
事件が起こったのは11月30日午前3時。その日も疲れ切り、床に就いたリンダは足の方から感覚が麻痺してくる感覚を覚えた。
かつて、こうした感覚を経験していた彼女は、すでにこれがアブダクションの前兆だと察知し、助けを求めようと寝ていた夫を起こそうとしたが、まあったく出来なかった。
やがて、彼女の体の感覚が鈍りゆく中、室内に静かに表れたのは、灰色の体を持つ謎の生命体であった。彼女はなんとか手にした枕を投げつけたが効果は無く、やがて麻痺が全身に届き、ついに彼女は湿疹、その直前に、誰かが自分の背中を触った事だけは覚えていた。
その時、逆行催眠によっって得られたリンダの証言によれば、部屋に入ってきた宇宙人は3~4人程であり、彼らはリンダの体が動かなくなった事を確認してからアパートの12階から外に連れ出され、そのまま上空に待機していたUFOが出す青い光の中を吸い上げらていったという。さらに、UFO内に収容されたリンダは様々な医学的検査を行われたとされる。
数時間後、気がつけば、リンダは元のベッドに居た。周囲は静かなままで、もしや宇宙人に殺されたのではないかと夫と息子を探したが、結局、夫も二人の息子も無事なままだった。
これらの証言は全てリンダの逆行催眠から導き出されたものだったが、これを担当した医者や看護師、リンダの家族はまるでリンダの証言を信用できなかった。逆行催眠とは人間の深層心理に働き掛ける効果があるが、催眠のかけ方や催眠時の医師の答弁の仕方によっては偽の記憶が作られる事がすでに知られていたからである。
さらにリンダはかねてよりUFOや宇宙人にたいする異常なほどの恐怖心を持っていた。そのため、これはリンダの誇大的な強迫性神経症が引き起こした被害妄想の一種だと考えたのである。
しかし、それから15ヶ月後の1991年2月、事態は一変しはじめる。
ホプキンズの元に、リチャードとダンと自称する警察官を名乗る二人の男たちから、『自分達はリンダのアブダクションを目撃していた』という内容の手紙が届いたのである。
それによれば、彼らはリンダのアパート近くのマンハッタンの高速道路の下で車を押している最中、彼女が宙を浮いて、建物の長さの四分の三くらいの大きさのUFOに吸い込まれて行ったという。
リンダを拉致したUFOは高度を上げて高速道路を飛び越えると、そのままブルックリン橋付近のイースト・リバーに飛び込んだ。一部始終を目撃していた二人は心配になって事件のあったブロックまで行って45分も待っていたが、結局、UFOは川から出てこなかったとされる。
後に、ポプキンズの紹介で二人はリンダの元を訪れ、その無事を確認して帰って行ったという。
彼らは自分達の証言や存在を公表されることを恐れていたが、その後二人からホプキンズに対し、新たな手紙と、片方の男が事件について語ったテープが届けられた。
それによれば、ホプキンズに会えない理由は、彼らがシークレット・サービスだからだということだった。
なんと、彼らは自らが国連事務総長の警護をしていたという。UFOもみたのもその最中で、故障したリムジンを押していたという。この故障も、やはりリンダを誘拐したUFOの影響であり、この誘拐を国連事務総長に見せるためのパフォーマンスであっというのだ。
しかし、後にこの二人は精神に障害を負っている事が判明。リンダが宇宙人であるという妄想を抱いたのか、二度に渡り彼女を誘拐し、彼女が宇宙人であるかどうか確認したといわれる。
だが、目撃証言はこれで終わらなかった。
1991年11月に、ホプキンスの元にまたもやリンダのアブダクション目撃していたという手紙が届いた。
今回の目撃者はニューヨークの元電話交換手であるジャネット・キンブル(60)彼女の手紙によれば、車でブルックリン橋を渡っている途中、突然彼女の車が原因不明のトラブルが発生、ついにはリンダのアパートが見える場所で車は完全に停止した。
ほとほと困り果てている彼女の前で、突然、目を覆うほどまぶしく輝くUFOが現れ、宇宙人のグループを目撃、さらに、UFOに吸い込まれるリンダを見たという。
この時、彼女が描いた事件の図と、リチャードとダンが描いた図は一致する部分が多かったとされている。
しかし、国連はUFOとの関係は否定。リチャードとダンの存在についてもいまだ不明な点が多く、事件は謎に包まれたままである。
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