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キャッシュ&ランドラム事件

この事件はアメリカ合衆国テキサス州ハフマン近郊で起きたUFOによる健康被害と、それに関する一連の訴訟騒ぎという一風変わったUFO事件である。

事件が発生したのは1980年12月29日、食品雑貨店の女性経営者ベティー・キャッシュ(51)と、そこで働くヴィッキー・ランドラム(57)、そしてヴィッキーの孫コルビー(7)の3人は、テキサス州ヒューストン郊外レストランで夕食を取っていた。
いつも通りの会話を楽しんだあと、20:45頃には店を出て、自宅へと車で向かった。

ベティーが運転する車は、る森に湖沼が点在し、人家もまばらな地域を抜けるハイウェイを走っていた。この道路は、普段はほとんど地元の人しか使わないのだが、渋滞もなく、抜け道としては最適であった。

だが、21:00頃には、車がヒューストン湖に近いハフマンの近くで、孫のコルビーが木々の梢の上に明るい光を見つけた。彼が指さす方向を見たベティー達は、確かに明るい光を見つけはしたが、最初は付近にあるヒューストン・インターコンチネンタル空港(現ジョージ・ブッシュ・インターコンチネンタル・ヒューストン国際空港)に着陸する飛行機の灯火だと思った。
しかし、次第にその光は大きくなり、数分後「角の取れたダイヤモンド」のような形がはっきりとわかった。しかも、その物体はベティー達の車めがけて飛んできていたのである。
そして、ついにどの物体はベティ達の前方の道路上に立ちふさがるように、下部から時々激しい炎を吹き出しながら滞空しはじめた。
この時、3人の車はこの恐るべき物体から50m程にまで近づいてしまっていた。 ベティーは慌ててブレーキを踏み、その場に車を停車させた。
ベティーとヴィッキーは物体を観察するため、すぐに車を降りた。
目の前の物体は、鈍い銀色で全面が覆われており、地上から8mまで降下すると、すぐに炎を噴射しながら上昇すると言う動きを繰り返していた。

この物体は真冬にも関わらず、3人が汗ばむほどの熱を放ち、時折「ビー」という甲高い機械音を発していた。

これを見ていたコルビーがおびえるので、敬虔なクリスチャンであるヴィッキーは「今に光の中から救世主が現われるはずよ」と、目の前の現象がキリストの再来であると諭し、コルビーを宥めるため車内に戻った。
ベティーはしばらく車の前でこの光景を眺めていたが、再び飛行体が上昇し始めたので車に戻った。
しかし、ドアノブは革コートで手を包まなければ触れないほ熱くなっており、熱で溶けかけたダッシュボードは、手形がのこる程であったという。

その後、物体が滞空運動をやめ、ゆっくりと上昇していくと、それを取り囲むように周囲にヘリコプターが集まっていった。

そして、そのヘリに先導されるゆに物体が消えた後、ようやく、周囲に静けさが戻ったのである。

車内はまだ熱く、冬場だというのにエアコンを効かせながら 5分後ほど走ると、m現場から約8km離れたハイウェー上で再び夜空を飛ぶ謎の物体を見つけた。

この時、物体はまだはっきりと見える距離にあり、明るい光のシリンダーのようにみえた。
その光は周囲の地面やヘリコプターを照らしており、ヘリの多くは、前後にローターがある形から、米軍の輸送ヘリコプターであるCH-47チーヌクであったとされる。その他にも何種類かの小型ヘリもあったとされるが、その機種までは判断できなかった。そのヘリは全部で23機が確認できたとされる。

そして、この謎の物体とそれを取り囲むヘリコプターの群れはNASAジョンソン宇宙センターのあるヒューストンの方向に飛び去って行ったという。

しかし、それから三人が帰宅した時、それぞれの体に異変が生じ始めた。

原因不明の腫れや水膨れが生じはじめたかと思えば、頭痛や吐き気、下痢、脱毛症状など複数の症状が発生。医師によれば、これは典型的な放射線被曝症状であり、この三人はいまだに回復できていない。

その後、彼ら以外にもその夜に異常なほど多数のCH-47ヘリが飛んでいるのを確認した証人が他にもいる事が判明したが、軍はこのヘリの運用目的について一切を口を閉ざしている。

その後、彼女らが目撃し、被爆させられた物体は、米軍の秘密兵器である可能性が高いとして、政府と空軍を相手取り、総額2,000万ドルの損害賠償訴訟を起こした。

しかし、1986年に「米軍とNASAはその種の物体を所有または使用していない」という理由で全面敗訴となった。

その後、ベティーは丁度18年目の1998年12月29日に他界。
ヴィッキーは2007年に亡くなり、この事件は完全に幕を閉じた。

しかし、現在でもこの事件に関する議論は続いている。もし仮に米軍の秘密兵器だとして、なぜエリア51のような機密地区ではなく、通常の郊外にそんな兵器を運び出したのか。また、これは軍の秘密兵器ではなく、米軍が捕獲したUFOの一機だったのではという仮説も存在してるものの、いまだ真相は闇の中である。