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ラボック事件とは1951年8月25日に最初に目撃された、夜空に音も無く、北から南に高速で移動しているのが確認された未確認飛行物体である。
この飛行物体は8月25日の時点で複数の人に目撃され、それから数日、数週間おきに同じような飛行物体が何度も目撃され、目撃人数も多数存在した。
この一連の未確認飛行物体の目撃に関する騒動を総合して「ラボック事件」と呼ばれる。

最初にこの謎の飛行物体が観測されたのは1951年の8月25日の夜9時頃の事である。
ニューメキシコ州のアルバカーキという町の郊外に住むとある夫婦が、自宅の庭から夜空を眺めていると、翼のようなV字型に光って見える飛行物体が北から南に向かって高速で飛行しているのを目撃した。
この飛行物体はエンジン音のようなものは一切なく、完全な無音だったという。
目撃した時間はほんの2,3秒だった。高度はおよそ250メートルから300メートルの高さではないかと推定された。
飛行物体の形状は翼を広げたようなV字型で、両翼部分にそれぞれ、青みがかったライトが8個程度付いていたという。

同日の8月25日に夜9時20分ごろにテキサス州のラボックに位置するテキサス工科大学の教授が4人、上記と同じような飛行物体を目撃した。
こちらの目撃証言によれば青白く光り、北から南へと移動していったという点は夫婦の目撃と一致するが、ライトの数は20~30くらいはあったと、夫婦の証言よりも多くなっている。

その教授たちは再び見れないかと期待して夜空を見上げつづけていたら、およそ1時間後に再び同様の飛行物体を目撃した。
この時に見た飛行物体は先ほどのようなV字型の規則正しい形で並んではいなかったと記録されている。
そしてこの教授たちはそれから2、3週間にわたってこの謎の飛行物体を10回以上も目撃、観測する事になるのだった。

大学教授たちはこの謎の飛行物体が何なのか解明したくて、さらに2名の大学教授に手伝いを頼み、本格的な観測を行う事にした。
その後も何度か観測する事に成功し、この謎の飛行物体は北の空、45度の上空から現れ、南の空45度上空で消える事が多いという傾向を掴んだ。
目視できる観測時間はおよそ3秒間。つまり90度の角度をおよそ3秒間で飛行しているという観測結果を導きだした。

そして最初に観測された日の翌日26日の朝方、ラボックでのテキサス工科大学の教授たちが初めて謎の飛行物体を観測したおよそ2、3時間後に、テキサスから遠く離れたワシントン州で防空レーダーに高度約4000メートルの上空に時速1400キロという非常に高速で飛行する謎の物体が捕捉された。
これに対して空軍の戦闘機がスクランブル発進して追跡を試みたが追いつけず、見失ってしまった。

さらに8月31日にはテキサス工科大学の学生でありアマチュアカメラマンの青年がこの謎の飛行物体を自宅の二階で目撃し、再度現れたところを写真に収める事に成功している。
この写真は学生本人が新聞社に持ち込んだが、様々な検証、考察の結果信憑性は薄いと判断されて掲載には至らなかった。

この後もこの謎に飛行物体は頻繁に夜空に現れ続け、多くの目撃証言が残っている。

空軍のUFO調査機関であるプロジェクトブルーブックは、この一連の謎の飛行物体を公式に「識別不能」と発表した。
識別不能とはつまり、解明できなかった事件という扱いである。

しかしその後、プロジェクトブルーブックは調査を重ねることによって、少なくともテキサス工科大学の教授たちが何度も目撃、観測した飛行物体については、ありふれた自然現象で簡単に説明ができると主張した。
だがその具体的な確認方法や、検証した科学者の詳細は明かせないと非常に曖昧な態度を示したまま事件は自然と収束していった。