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この事件は、UFO事件の中でも実に特異な事件である。
真相云々はともかくとして、後にも先にもこう言った事件はUFO事件、宇宙人事件では聞いた事もない様な事件である。

この事件の概要は、1987年フランスの南部地方マルベシと言う地域でジェラーリ・ラミーが何と5人もの宇宙人に出会い、会話まで交わしたと言う。但し、相手の言語は全く理解出来なかった。

ジェラーリはある雨の日、外を歩いていると茂みの下で雨宿りをしている女性2人と子供3人に出会った。外見上は人間と全く違いが無く、着用しているものも人間のものと何ら変わりが無かったので、宇宙人だとは全く思いもしなかった。

そこで、親切心か興味本位かは判らないが、ジェラーリは彼女達に話しかけた。
すると、彼女達は全く理解の出来ない言語で返答し、ジェラーリは驚きながらも見た目ごく普通の人間であった為、不安も抱かずに冗談半分で君達は宇宙人なのか?と尋ねた。

ずっと、ジェラーリの理解出来ない言語で話していた彼女達だったが、その中の1人が多少ジェラーリの言葉を理解出来たらしく、しかもカタコトではあるがジェラーリが理解出来る言葉で話し始めた。

それによると、彼女達は正に宇宙人であり、地球とは違う星から来たと言う。
彼女は自身の母星についてジェラーリに詳細を説明し、自身が宇宙人であることについてもいくらか話をしたと言う。

だが、ここまでの話では、彼女達が宇宙人である証拠はない。
また、理解出来ない言語と言っても、ジェラーリ自身が地球上における全ての言語を知っている訳でもなく、知らない言語を話したからと言って宇宙人であるとも言えない。

話しの内容も裏付けはなく、彼女が告げた母星の名前も判らず、検証も出来ていない。
つまり、話の内容からも彼女達が宇宙人であるであろう現実味のある話は一切ないのである。

だが、ジェラーリは彼女達を宇宙人だと信じて疑わないのである。
その大きな理由が彼女達の乗り物にある。彼女達はジェラーリと一しきり話した後、車輪やハンドル、エンジンらしきものも見当たらないスノーモービルの様な乗り物に乗り、走っていったのではなく、それで空へ飛び立った事が根拠の様だ。

確かに現代においても、空飛ぶスノーモービルは存在しないので、それが事実であれば不思議な話と言えば不思議な話ではある。ただ5人もの人間が1台の空飛ぶスノーモービルに乗って行ったのか、数台あったのかなどの詳細も判っていない。
1台であればかなりの大きさを有するスノーモービルである。そういうモービルも存在はしていない。

ジェラーリが描いた宇宙人の絵は、宇宙人であろう要素はゼロだ。
普通以上に普通のただの親子連れでしかないものである。しかも、お揃いの服を着た親子連れで絵からは全く宇宙人のイメージが沸いて来ない。

ジェラーリは彼女達が宇宙人であると信じて疑わない。だが、この普通さ加減でありながらそれを主張し続けることが出来ると言う事自体が、意外に真実を語っているのかも知れない。
虚偽を語るのならば、それらしい脚色で語るのが通常であり、これのどこが宇宙人なんだ?と誰もが思ってしまう様な内容であることが逆に真実味を誘発する部分もあるとは言える。

何故、ジェラーリは嘘を吐くにあたって、わざわざ誰もが信じない様な発言をしたのだろうか。
それは、やはりジェラーリ自身だけがそう感じるに値する何かをその時感じ、ジェラーリは真実を語っているのかも知れない。
宇宙人が、既に地球上におり、人間に紛れているとするなら、ごく普通の人間にしか見えないジェラーリが目撃した宇宙人こそが本当の宇宙人と言えるのではないだろうか。