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1977年9月15日にブラジルで起ったUFO誘拐事件。
現場はリオ・デ・ジャネイロの西約45kmにあるパシエンシア。リオ・デ・ジャネイロから延びる郊外鉄道の駅がある。パシエンシアとはポルトガル語で「忍耐」を意味する。
被害者はこの町に住む33歳のバス運転手アントニオ・ラ・ルビア。
事件当日の午前2時20分、ルビアはいつものように仕事に出かけた。自宅近くの広場にさしかかると何かがあるのに気づいた。それは幅が70mほどで、鈍い鉛色をした鍔広の帽子のような形をしていた。
ルビアはUFOを信じていなかったが、それは円盤だと理解したので怖くなり家に帰ろうとした。突然あたりが明るくなり青い光の柱の中に立っていた。そばにはロボットのような3体の生物が浮いていた。それは高さが約140cm、フットボールのような形をした頭からアンテナが伸び、顔には小さな鏡が帯状に並んでいる。ずんぐりした身体の表面はアルミ箔のようで、腰にはシリンダーがベルト状に付いていた。
最も奇怪なのは象の鼻のように垂れ下がった腕で、手はなく先細りしている。さらに、足は棒が1本あるだけで足元は受け皿のような形をしていた。
生物がルビアの前と横、後ろに位置すると青い光が差して身動きが取れなくなった。1体がシリンダーを取り出してルビアに押し当てた。それは注射器のようだった。すると自分の体が移動する感じがしたと思うと円盤の内部にいた。そこは通路のような場所で、生物は1体を残していなくなった。
円盤が離陸して再び青い光に包まれると大きな丸い部屋にいて、12体の生物がルビアの両脇に立っていた。目の前に2本のポールに支えられた幅15cmほどのピアノに似た装置があった。両脇にアンテナが立ち、手前にはキーが並んでいる。
天井から光が差して銀色の壁が現れた。
それまで声も立てられなかったが、突然縛りが解けたようにルビアは叫んだ。
「お前らは何者だ、何をするつもりだ」
すると生物が一斉に倒れた。生物の息遣いが聞こえて、ルビアは自分の大声が彼らを混乱させていると分かったので叫び始めた。生物は起き上がり、回転しているアンテナを掴んだ。それでアンテナがティースプーンの形をしているのに気づいた。
生物がシリンダーを装置にセットしてキーを押すと映像が壁に映し出された。この操作を入れ替わり立ち代り繰り返して、次のような映像をルビアに見せた。
1つ目は見えないテーブルに寝かされた裸のルビア。2体の生物が彼の胸や頭に小さな青い光を照らし、別の1体が頭を調べている。
2つ目はルビアが裸のまま立って、横たわる自分自身を見ている。
3つ目は服を着てカバンを持ったルビア。音声はなく神経質そうにお喋りをして片腕を泳ぐように振り回している。
4つ目は見知らぬ場所の汚れた道に馬と荷車があり、麦藁帽子に破れたシャツの御者が映っている。
5つ目はルビアが明るいオレンジ色の球体の横に立っている。
6つ目は青い球体の横に1体の生物が立っている。
7つ目は涎をたらした大きな犬が映っている。犬は生物に掴みかかろうとするが届かない。犬が4、5回吠えたとたんに生物は頭からおかゆのように溶け始める。
8つ目はUFO製造工場の場面。どこまでも果てしなく白い景色に3機の円盤が並んでいる。2機はほぼ完成しており、1機は骨組みが見えている。無数の生物が作業をしているが工具は見当たらない。
9つ目は列車がトンネルに入って見えなくなる。ブラジルで使われている日本製の古い車両に似ていた。
10番目は車で渋滞するリオ・デ・ジャネイロと思われる通りの光景。
ルビアはこの他に、裸の自分を見ながら吐いてお漏らしをした映像を記憶している。
さらにルビアは血を採られた。生物が例のシリンダーを取り出すと高速回転を始め、ルビアに押し当てると腕が勝手に持ち上がった。右手の中指に押し当てられたシリンダーに血が充填される。痛みも刺した痕もなかった。
そして、生物はルビアの血を壁に映し出した。それは3つの円形になっており、それぞれがL字に分割されていた。
その後、ルビアは地上に戻された。1体の生物がそばにいて、ルビアのカバンや服も元のままだった。時計を見ると午前2時20分で、振り返ると誰もいなかった。その時、暗闇の底から巨大な球体が浮上してルビアはその姿がなくなるまで見つめていた。
ルビアはそのまま仕事に出かけたがあまりにも体調が悪く、翌日から会社を休んだ。結局、仕事を辞める決心をして、それを伝えにいった会社で錯乱状態になり、救急車で入院するはめになった。40度近い高熱が続き、回復したのは1ヵ月後だった。
医者はルビアの身体に異常はないため一種の精神疾患と判断したが、UFO研究家は特異な誘拐事件と考えている。
これまで目撃された宇宙人は概ねいくつかのタイプに分類されるが、パシエンシア事件はどれにも当てはまらない。これは、既存の宇宙人が姿を変えて現れたとする見解がある一方で、宇宙には様々な種族がおり、その一つが初めて地球に来た事例だとする研究者もいる。