1975年の10月下旬から11月上旬にかけて、アメリカ政府と軍関係者の肝を冷やす事件が続発した。核のある空軍基地にUFOが出現し、しつこく接近してきたのだ。核兵器だけに厳戒態勢で警備され、明確な位置は上空から確認できないはずなのだが、UFOは簡単に侵入してのけ、追跡の手も軽々とかわしてしまった。
10月27日の夜、未確認の物体が飛来したのは、カナダとの国境に近いメイン州ローリング空軍基地。北川から低空を侵入してきた赤白の灯をつけた物体に、基地には緊張が走り、すべての憲兵隊車両が核兵器貯蔵エリアに集結した。謎の物体は無線による呼びかけに反応せず、旋回や上昇、下降を繰り返し、40分ほどでカナダ方面へと飛び去った。近くで目撃した軍曹によると、フットボールのような形でオレンジ色をしていたという。
その後もローリング基地では数日間、同様の侵入時間が続き、10月30日になると舞台はミシガン州ワートスミス空軍基地に移る。やはり核兵器の貯蔵エリアの低空にUFOが出現したのだ。近くを飛んでいた空中給油機が追跡を試みたが、接近するたび時速1850キロもの速度で逃げられてしまった。
11月7日にはモンタナ州マルムストロム空軍基地の核ミサイル収容サイトにオレンジに光る飛行物体が出現した。あまりの巨大さに保安警戒班がしりごみするうち、UFOは上昇。迎撃戦闘機が緊急発進したが、6万メートルまで上昇してレーダーからも消えてしまった。直後に核ミサイルを点検すると、不気味なことに弾道内のコンピュータの目標番号が変わっていた。UFOは核ミサイルの目標地点を変えたかったのだろうか。
同時期にはノースダコタ州やニューヨーク州の空軍基地でも謎の飛行物体の上空侵犯が起こっている。一連の事件は情報公開の要求を受けて開示された文書に記録されているが、その正体も目的もいまだ明らかではない。
コメントをするには会員登録が必要です