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酷暑厳しい中、いかがお過ごしでしょうか。
体調を崩されないよう、皆さまご自愛ください。

さて、夏と言えば怪談。

お題掲示板、夏バージョンを立てましたので、振るってご参加くださいませ。
400字縛りは少々難しかったので、今回は1000字でいかがでしょうか。

ではまず、私から3つほどお題を。

「自由研究」「花火」「すいか」
カイト様より追加お題

「ひまわり」「蚊」「夕立」

追加お題
「キャンプ」「海水浴」「雷」

では、どうぞw

【轟音】

あとものの数分で時計の針が夜中の2時をさそうとしている。

毎月、この日、この時間、俺の寝ている窓の外を何かが通り過ぎる。

まずレールを揺らす振動を感じ、次にカンカンカンと警告音がなり始め、カシューっと遮断機の降りる音がする。
そして、遠くの方からガタンゴトン、ガタンゴトンと電車らしきものが近づいてくる。

その音が最高潮に達したころ、俺の家スレスレをそれは通過していく。まばゆいライトが暴れながら俺の部屋の中を明るく照らし、その瞬間、この部屋の壁を沢山の人間の影たちが乱舞する。そして、その人たちの頭はまるでスイカが割れるようにして弾け飛ぶ。

でも、それが通り過ぎてしまうと、いつも通り、後は何もなかったかのような沈黙と闇が、また辺りを支配するのだ。

なに、毎月一回、この夜さえ我慢すればいいだけの話だ。特に引っ越すつもりもない。調べれば、大昔にここを線路が通っていただの、大きな事故があっただの、なんていう話を聞くのかもしれないけれど、別に調べるつもりもない。おそらく何の得もないだろうからね。

文字数457
お題 スイカ

返信

@よもつひらさかさん
この度は素敵な企画をありがとうございます。拙作への感想も丁寧にしていただき嬉しいです。

よもつひらさかさんの作品を拝見して、「かにさされました」のリフレインが微笑ましくついクスリとしてしまったのですが… あんな結果が待っているなんて。脱帽です。

返信

夕立の中、わざわざ車を飛ばして山へ向かうには理由があった。
 家を出る前に、庭にすくすくと育ったひまわりは、大きくなり過ぎたゾンビのような頭を抱えて雨に打たれながらこちらを見ている気がして、私は慌てて目を反らす。
 そんなはずはない。ハンドルを握る手は汗ばんで、ハンドル操作を誤りそうだった。
「7月28日、今日はおばあちゃんちで、すいかをたべました。おばあちゃんちでなったスイカはとてもあまくておいしかったです。でもかにさされました。」
「8月1日、今日は花火大会に行きました。花火の音はすごく大きくて僕はびっくりしたけど、すごくきれいでした。でも、かにたくさんさされてかゆいです。」
「8月3日、学校から持ってかえったひまわりの花のつぼみができました。さくのが楽しみです。ぼくは、ひまわりのかんさつを自由けんきゅうにしようと思います。でもかにさされてかゆいです。」
されるはずもない絵日記の更新。それは確かに息子の幼い筆跡であった。
それを見つけたのは、夏休みも終わりに近づいた、昨日のことだった。
この子さえいなければ。
何度となく思ったことだった。だから私は、初夏のうだるような暑さの中、睡眠導入剤を混ぜた飲み物を我が子に与え、車内に放置したのだ。
「ガキが居るなんて聞いてねえ。お前とはお別れだ。」
彼のその言葉に私は焦燥感にかられた。彼は私を愛してくれていて、子供が居ても結婚してくれると信じていた。
確かにあの子は目を開けなかったから、あの山中に埋めたのだ。
まさか、生きてるなんてことはないはず。
息子を埋めた場所に着いた。
私は恐る恐るその場に立つと、息子の声が聞えて来た。
「かゆいよ、ママ。からだがかゆいよ。」
耳を塞ぐ。
「いっぱい虫がいるんだ。ここはいやだよ。」
脳内に響く幼い声。
「やめて!」
膝から崩れ落ち耳を塞ぐ。
すると、土の中から小さな腐った手が私の手を掴んだ。
そして、小さく土が盛り上がると、無数の甲虫がはい出して来た。
その甲虫がはい出したあとにぽっかりと穴があき、息子の顔が覗き、唇が動く。
「ママ・・・」
私は慌てて車に戻り、急発進させた。
さきほど掴まれた手は濡れた土にまみれていて、ハンドル操作を誤った。
そして、静かに車体は谷底へと吸い込まれて行った。
【お題】「自由研究」「花火」「すいか」「ひまわり」「蚊」「夕立」

返信

@カイト 様
自由研究を試した先生、連れて行かれちゃったんですね。
しかし、何者なんだ、玲子さん。
ミステリアスで気になりすぎる~。

返信

@カイト 様
花火のお話、切ないですね。
子供は親を選べない。
しかし、玲子さんシリーズ、クールですね!

返信

@カイト 様
こういうの好きです。都市伝説が本当になっちゃうみたいな話。

返信

@珍味 様
ちょ、ちょっとぉ~?
スイカは何を取り込んじゃったんですかぁ?((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

返信

@深山 様
当たってるけどさあ・・・って
冗談でも怖いんですけどーw

返信

@ロビンⓂ︎さん
ありがとうございます! 嬉しいです。少しは怖く仕上がっているでしょうか。
字数縛りで書くのは初めてだったのですが、なかなか難しいですね。面白かったです。

僭越ながら、お題を出させてもらってもいいでしょうか?
夏といえば、「ひまわり」「蚊」「夕立」でいかがでしょう。

返信

カイト様、三作とも読み応えがあり面白かったです!
特に、花火の世界観がいい感じで好きです…ひ…

返信

『僕の自由研究』

〈テーマ〉
おばあちゃんに会いたい
〈テーマを選んだわけ〉
僕のおばあちゃんは、去年死んでしまいました。でも、お盆には死んだ人があの世から帰ってくると聞いたので、大好きなおばあちゃんに会いたくてこのテーマにしました。
〈死んだ人に会う方法〉
1.八月十三日にお墓にお迎えにいく。肩が重たくなったら、そのまま連れて帰る。
2.家に着いたらお水を一杯あげる。この水は、いつもご飯を作る時に使う水じゃないとダメ。
3.お水をあげたら、「会いたいです」とお願いする。
4.死んだ人は夜中の二時頃じゃないと出てこれないので、それまで眠らず待つ。
5.死んだ人は姿を見せられないので、必ず背中側に出てくる。声をかけられても振り返らないこと。背中を向けたままお話しする。
6.十五日の送り盆に、お墓まで送ってあげる。
※やってはいけないこと!
・死んだ人の姿を絶対に見てはダメ!
・「もう帰る」と言われたら、引きとめない!
・「一緒に行こう」と言われても、断ること!
〈結果〉
おばあちゃんに会えました。
〈感想〉
おばあちゃんとお話ができて嬉しかったです。夜眠いのを我慢するのが大変でした。
〈手伝ってくれた人〉
玲子お姉ちゃん(死んだ人と会う方法を教えてくれました)
《担任の評価》とても興味深いテーマですが、死んだ人に会えたという最後の嘘は、ちょっといただけませんでした。
・・・・・
「玲子姉ちゃん」
八月十四日の夕方、玲子は知り合いの少年に呼び止められた。
「あら、夏休みなのに制服?」
「去年小学校で担任してくれた先生が昨日急に死んだって連絡が来て。お通夜に行くんだ」
少年は悲しいのか面倒臭いのか、ため息を一つした。
「偉いわね。お焼香の仕方、知ってる?」
「知ってるよ。おばあちゃんの時にやったんだから」
少年はそこで、辺りを憚るように声を潜めた。
「あの先生さ、去年の俺の自由研究を使って、死んだ人と会ったんじゃないかな?」
「なんでそう思うの?」
「だって、俺の自由研究だけ返してもらえなかったし。それにあの先生、何年か前に旦那さんが死んでるんだよ」
「そう…」
「で、禁止事項を守らなかったんだよ、きっと。まだ若くてすごく元気だったってのに、急に心臓発作なんておかしいじゃん?」
夏の夕方が、蜩の鳴き声に切なく染まる。
玲子は心の中で、少年の自由研究がこの先誰の目にも触れないことを祈った。

お題「自由研究」999文字

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『盆の花火』

八月十五日に港で行われる毎年恒例の盆踊り大会は、盛大に打ち上げられる花火でフィナーレを迎える。
花火のために照明が落とされた会場は隣の人の顔もはっきりしないほどの暗闇だが、夜空に大輪の花が打ち上げられるたびに、パッと一瞬周りが照らされる。
玲子は団扇を片手に、夜空と色とりどりの火薬の饗宴に見入っていた。
打ち上げの際の大きな音にかき消されるように、祭りのざわめきが段々遠ざかっていく。
それと同時に、花火が上がるたびに一瞬だけ見える周りの面々にも、変化が見られ始めた。
ヒュー… ドン!
あそこにいるのは、今年の初めに亡くなった隣のおじさんだ。
ヒュ〜… ドン! パラパラパラ…
隣で団扇をあおいでいるのは、仏壇の写真でしか見たことがないひいおばあさん。
ヒュー… ドン! ジジジ…
向こうの三人組は軍服のようなものを着ている。そうか、今日は終戦記念日でもあった。
尺玉がひときわ大きな音を立てて破裂すると、暗い海に一艘の貧相な舟が浮かんでいるのか見えた。
沈んでしまうのではないかと心配するほど、小さな舟には人々がひしめきあっていた。
今日は盆の送りの日。束の間をこの世で楽しんだ御霊たちが、迎えの舟に乗ってあの世へ帰る日だ。
ヒュー… ドン!
次の少し控えめな花火に照らされて見えたのは、一人の男の子だった。どこかで見たことがある顔。そうだ、駅前の張り紙で。確か、「行方不明、情報求む」の張り紙だった。
男の子の青白い顔を見るに、彼はきっともう……
男の子は迷うような表情で、沖の小舟と一組の男女を交互に見ていた。金髪に派手な化粧、着崩した浴衣、周りに散乱するゴミ。一目で素行が良くないと知れるカップル。
迷っているのだ。定めの通りあの世へ行くか、何らかの執着のある男女の元へ残るか。
「あなたの好きにしなさい」
玲子はそう呟いた。
男の子は少し驚いたように目を見開き、次いでニコリと微笑んだ。
すべては、花火が燃え尽きる一瞬の出来事。
最後の花火が夜空を埋め尽くすほどの花びらを散らせた後、玲子の耳に祭りの賑やかさが戻ってくる。
玲子はもう見えなくなってしまった海の小舟に向かって、静かに手を合わせた。
帰りの人混みの中で、あのカップルを見かけた。
背後には、あざだらけで頭から血を流した男の子が、影のようにくっついていた。

お題「花火」972文字

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『すいか太郎』

「ねぇ、怖いお話しして」
とある夏の夜。玲子は寝付けないらしい幼い姪にそうせがまれた。
「いいわよ。それじゃ、あなたの好きなすいかの話でもしましょうか」
「怖い話?」
「そう。すいか太郎よ」
なにそれ〜、と笑う姪の頭を一つ撫でて、玲子は話し始めた。
「昔あるところに、すいかが大好きな男の子がいました。好きすぎて、いつも種まで食べるほどでした。ある蒸し暑い夜、男の子はなんだかおへそがムズムズするので目が覚めました。するとなんと、おへそから小さなすいかの芽が出ていたのです。すいかはどんどん蔓を伸ばし、やがて花が咲いて実がなりました。実が大きくなるにつれ、男の子の体から力が失われていきます。すいかはあっという間に男の子の頭よりも大きくなると、まるで蛇が大きく口を開けるようにパカリと二つに割れ、男の子の頭を飲み込んでしまいました。こうして、頭がすいかのすいか太郎が生まれたのです」
「怖くなーい」
可愛らしい生意気を言う姪の頬を、玲子は小さくつまんだ。
「まだ続きがあるのよ。すいか太郎は、頭のすいかを他の誰かに移せば、元の姿に戻れるんですって。だから彼は夏になると、自分の代わりにすいかを被ってくれる子供を探して、夜な夜なさまよい歩くらしいわよ」
「……」
「だから夜遅くまで起きていて、すいか太郎に見つからないようにね。それから、すいかの種は飲み込まないように」
「うん…」
怯えたような姪の頭を優しく撫で、玲子は「おやすみ」と呟いた。
姪が寝静まってから、玲子はそっと部屋を出た。
廊下は足元に常夜灯が灯っているだけだったが、玄関の灯りが届くのでさほど暗くはない。
その玄関に、奇妙な影があることに玲子は気がついた。
まるで家の中を覗き込むように佇む、小さな影。その頭は細い体に不釣り合いな程大きく、不自然に綺麗な球形だった。
玲子は小さくため息をつき、玄関脇に置いてある煙草を手に外に出る。するとそれから逃げるように、影は玄関の灯りが届かない暗がりへサッと逃げ込んだ。
影が逃げ込んだ暗闇をしばらく見つめて、玲子は細く煙を吐いてから言う。
「うちの姪のこと諦めて、さっさとよそへ行きなさい」
やがて、大きすぎる頭をフラフラと揺らしながら、小さな影はゆっくりとどこかへ歩いていった。

お題「すいか」944文字

返信

前回のショートショート企画も面白そうだなぁと思って見ていたのですが、今回はオズオズ参加させてください。
皆さんの作品が見られるのも楽しみです。

返信

夏休みに爺ちゃん家に行ったら、畑で作ったスイカを出してくれた。僕の毎年の楽しみの一つだ。
早速、縁側に座ってかぶりつく。スプーンなんか使わずに、種はプッと庭先に吐き散らす。やっぱりスイカはこうじゃなきゃ。
シャリシャリ食べては種をプッと吐き出す。勢い込んで食べてると、たまに種を噛んじゃって、ガリっという感触がしたりするけど、夢中で食べてると気にならない。プッと吐き出してまた食べ続ける。今年のやつも、いつにも増して大きくて美味しい。あっという間にスイカの皮が何枚も積み重なっていく。
「美味しかった!」
あっという間に半個分を平らげた僕は、ふと庭先に目をやった。
たった今吐き散らかした沢山の種が散らばる中に、ちらほら白い欠片が見える。
庭におりて一つをつまみ上げてみると、小さな小さな臼歯だった。
ガリッという感触はあれだったのか。
「絶対に畑には行くな」
嘔吐する僕の背中で爺ちゃんの声がした。

(お題:すいか)

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『すいか割』

「あ~、すいか美味しい。あれ? 食べないの?」

「ああ、俺すいか苦手なんだ」

「へー勿体ないねぇ、こんなに美味しいのに。──あっ! 解った。なんですいかが苦手なのか」

「えっ? なに?」

「あなたは過去にすいか割りをやった。その時あなたは誤ってか、それともわざとか、砂浜で身体を焼いていた人の頭を叩き割った。陥没し割れた頭からは脳漿が飛び散りグチャグチャのグログロに。それを見たあなたはトラウマとなり、すいかが食べられなくなってしまった。──どう?」

「どう?って......。怖いよ、なんの話だよ? しかも、わざと頭割るって。日曜日の昼下がりにカップルでする話じゃないだろ」

「なんだーはずれたか、残念」

「いや、──当たってるけどさぁ」

「......」

お題 【すいか】

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