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マモン(別名・マンモン、アマイモン)は、キリスト教やユダヤ教に伝えられている悪魔である。
実利主義者、物欲の権化として描かれることが多い、堕天使。

七つの大罪においての“強欲”を司り、アラブ語では元々「金、富」を表す言葉。
だが現在の辞書においては、多くの場合「拝金主義者(mammonism)」「拝金主義者達(worshipers of mammon)」と表記されていることが多い。

コラン・ド・プランシー著「地獄の辞典」においては、マモンは元々アマイモンが独立した悪魔として紹介されている。

また、グリモワールの1つである「ゴエティア」では、72の堕天使を支配していた、“地獄の東方の王”として、そして「金甌地獄百科事典」においては、“地獄の中英大使”として語り継がれている。

元々“マモン”という言葉は、アラム語で「富・金」を意味する言葉だったのだが、新約聖書「マタイによる福音書」の6章と、「ルカによる福音書」16章の中で、“あなたがたは神とマモンに使われることは出来ない”という対照的な表現があることから、マモンは富への執着の擬人化表現として使われるようになったのではないかと言われている。

16世紀の悪魔学者、ペーター・ビンスフェルドの研究によって、七つの大罪において、マモンは“強欲”“貪欲”を司るということが発表され、人間を惑わしてきたとされている。

悪魔として語り継がれているマモンが登場する、ジョンミルトン著「失楽園」では、マモンは登場する堕天使の中でも、もっとも浅ましい性根の持ち主と表されており、堕天する前にも、神界のことに目もくれず、下界の金銀財宝などに夢中だったことが記されている。

その浅ましさが原因でマモンは堕天をしてしまったとされているが、マモン自身は特に堕天をしたことを気に留めることもなかったようだ。

マモンは天界に居たころから、「他に比類なき」と言われるほど、金銀財宝などのお宝に目がなかった。
その貪欲さから、堕天後も下界に率先して採掘技術を伝え、財宝を躍起になって見つけ出そうとしていた。

堕天をした際にもそのスタンスは変わらず、地獄に落ちてからもなお、宝石などの価値のあるものに執着をし続け、貪欲さを見せつけた。
更にそれだけでは飽き足りず、マモン自身が堕天使を集め工作隊を指揮し、地獄の火山から宝石などの財宝を採掘させたという説もある。

また、その強欲さはマモンのみにとどまらず、人間にも影響を及ぼすことがわかっている。
マモンは、人間をそそのかして強欲さを湧き起こさせるなど、人類にも多大な影響を与えることで知られ、そそのかされない様に注意をしてきたという。

中世ヨーロッパでは、教会へのお布施や資金援助を惜しむ者への非難の言葉として「マモンにそそのかされた」と、マモンを利用していた者も多く、寄付金を惜しむ者への悪口として使われていた。

地獄の謀議において、モロクが主張していた主戦論を退け、地獄に独自に王国を築き上げて、自主独立の道を進むべきだと主張していた。
その主張を象徴するかのように、マモンは「失楽園」において、袋を抱えて箱に腰を下ろしている男性の姿で描かれており、悪魔とは程遠い描かれ方をしている。
(ただし、「グリモワール」の挿絵等に置いては、鳥の頭を持っている悪魔姿で描かれている)

アモン(ソロモン72柱のアモン)と同一の悪魔と思われることも多いが、アモンはエジプト神話のアモン神が元とされているため、根本的に別の存在である。