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アポリオンは、天から落ちた星が変身した姿だと言われ、その姿は「ヨハネの黙示録」に記されている悪魔の王「アバドン」と同一視されている。これは、
「アバドン」をギリシャ語にすると「アポリオン」になるということから来ており、共に「破壊者」という意味を持っている。
しかし、同一視されていても同じ存在ではないとされており、呼び方が変わると別の悪魔としての伝承や伝説が生まれるのがこの悪魔に限らず、悪魔学の常識
である。
「ヨハネの黙示録」の件を引用すると次のような記述がある。「一つの星が、天から地上へ落ちてくるのが見えた。この星に、底なしの淵に通じる穴を開く
鍵が与えられた」とある。この穴からは妖怪じみたイナゴが大量に飛び出したといわれ、大量の穀物を食い荒らし、瞬く間に多くの人間を苦しめたという。
これが、天から落ちた星が変化して怪物になったというアポリオンだという。なお、黙示録にはこの星を「神の使い」とする記述があることから、従来ならば
アポリオンは悪魔ではなく天使であるのだ。しかし、キリスト教の聖書以外の伝承などでは、人間に害をなす破壊者であるという面が強調されているため、
邪悪な悪魔であるという位置づけが確立されていった。注目するべきは、その苦の内容と対象者で、前述した天災とも呼べる苦しみを味わうのは、信仰心を
失った背教者に限り、その苦しみは5ヶ月にも及ぶのだが、誰ひとりとして死ぬことはないという。ただひたすら苦しみにのたうち回るというのだ。
このような行為は信仰心を失った人間たちへの天罰であるとも受け取れるが、サディスト的な行為は、やはり天使というには似合わない存在であると解釈された
と考えられる。これは、終末の時に訪れるアポリンオンに課せられた人間に対しての仕事なのだという。さらに、アポリンオンにはもう一つ重大な使命があり、
地獄の大魔王であるサタンを1000もの間縛りつけ、監視する役割を担っている天使だったという記述も残っている。諸説の話や、解釈によって現在は悪魔であると
されているが、その本当の姿は天使でありながら地獄の監視を任された宿命なのかもしれない。
アポリオンには、その呼び名から様々な伝承や伝説がひとり歩きしていった悪魔である。あるときはクリスチャンと戦う悪魔であったり、ギリシャ神話の太陽神
アポロンに呼び名が近いことから、アポロンが退治した大蛇ピュトンと同一視されていたりするのである。
また、ある見解では反キリスト教(イエスはキリストではないとする教え)の右腕であるといわれ、その出自は東の国であるとある。アポリオンは反キリスト
の汚い部分をすべて引受け、そのために反キリストの邪悪で残酷な側面を負う意味で右腕となっているのだ。聖母マリアは神の生まれ変わりと伝えている者
としてアポリオンを挙げ、日本の弥勒菩薩がそれにあたると言っている(表現として666が悪魔の軍勢を意味し、6が3つで弥勒菩薩)。マリアは月の落し子
は寺で育てられるとも言っていることから、日本もしくは中国、またはインドを含んだアジア域で生まれることは間違いないという見解もある。
アポリオンの生誕はすなわち今世の終末を表し、その誕生とともに終末が近づいて来るとあり、密教の影に守られながら密かに成長すると言われている。
その場所は、日本で言うならば四国の剣山、京都の鞍馬山、高尾山、高野山、恐山、富士山といった霊的なエネルギーを発しているデーモンポイントと呼ばれる
地場をもつ場所の近くだという説がある。アポリオンが日本で生まれたならば、こうした場所が力を蓄えるのにうってつけだという。