グレムリンの存在は、1900年代初期に、英国の空軍の間で噂されたことに始まる。歴史の上では比較的新しい悪魔である。
英国士官の食堂にあった「グリムの妖精物語」という本のタイトルと、ビールの銘柄である「フレムリン」を合わせた造語といわれている。
日本では「小鬼」や「小悪魔」などと訳される。欧米では、グレムリンを「日本人」また「黄色人種」を起源と考える説もある。
グレムリンの容姿については色々な描写があるが、身長50センチメートル、体重8キログラム程度とされる。毛のまばらなジャックウサギに似た容姿で、渋い表情を浮かべている。頭から角を生やしているという説や、赤い上着に緑のズボンをはき、皮の飛行ジャケットとブーツを身につけているという説もある。また、足に水かきのひれのついた種類もあるという。羽は生えていない。上空3000メートルもの高さで生活をするグレムリンは特に「スパンデュール」と呼ばれる。
もともとグレムリンは高い山の頂上付近で暮らしていたという。しかし人間が飛行機を発明して高い空の上を飛ぶようになったことを契機として、航空機等に興味を持ち、機械に乗り移るようになったという。
航空機の内部に入り込んで、パイロットの操縦と違う動きをさせ航路を狂わせたり、航空機の計器を狂わせたりするという。また、ガソリンを飲んでしまったり、目標の座標を狂わせたり、滑走路を上下させたり、機体に穴を開けたりするなど、機械、特に航空機に悪さをする者と考えられていた。第二次世界大戦中には、東京に空襲をしかけた米軍の爆撃機にも入り込んで不具合を起こしたと考えられたという。羽が生えていないので、グレムリンが空をとぶためには航空機等に飛び移るか、航空機内に忍び込み、飛び立ってから悪さをし始めると考えられている。
グレムリンは航空関係者にとっては死を招き寄せる不吉な存在として忌み嫌われた。しかし、当時まだまだ技術の確立していなかった機械の、判別不能の故障や不具合、また当時の人間の無意識下における誤操作などを、飛行機の製作者や整備者に責任転嫁すると空軍の士気に影響することから「グレムリンの仕業」としたのではないかとも考えられている。
また、航空機以外でもコンピュータやミシン等にも入り込んで内部を狂わせるともいわれる。
こういった例から、航空機や機械、コンピュータなどが異常な動作をし、その原因がわからない状況を「グレムリン効果」と呼ぶことがある。
ただし、それほど悪意のある妖精ではなく、パイロットの着陸を集団で手助けする存在とされることもある。
また、チューインガムや飴玉が好物で、これらでグレムリンの気をそらせば悪戯を回避することができると考えられている。そのため当時は完成した飛行機等を納入する際に飴玉やチューインガムをおまけに付ける風習があった。現在でもその名残で機内サービスで飴玉などを配るサービスがある。
1984年にはアメリカ映画『グレムリン』が公開されている。クリスマスに贈られたペットグレムリンの飼育をめぐるSFコメディ作品である。1990年には、『グレムリン』続編『グレムリン2 新・種・誕・生』が制作された。この作品ではグレムリンは最初は登場せず、モグワイと呼ばれる隊長30cmほどの人懐こい生物が登場する。しかしこのモグワイを「光に当てる」、「水に濡らす」、「真夜中に食べ物を与える」という3つの禁忌をおかしてしまうとモグワイはグレムリンと化してしまうという。
ほかに、ファンタジー作品やRPGなどにも、たびたびグレムリンをモチーフとしたキャラクターが登場することがある。
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