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大分県佐伯市宇目大字重岡三国街道

三国峠

大分県の南海部郡宇目町と大野郡三重町の間にあるのが、三国峠である。三国峠というと、国道326号線の道路のことと、そこから山道に入り込み、山頂までの戦場跡のことの二つがある。三国峠は交通事故の多発地帯であり、また心霊現象の多発地帯でもある。かつて臼杵藩・岡藩・佐伯藩の3つの藩の境界となっていたことから、三国峠と呼ばれている。西南戦争のときには多くの戦死者が出た。

この三国峠のある三重町は、西南戦争時に薩摩軍が三重町を奪還しようと戦ったのである。薩摩軍は竹田が陥落したあと、小野市まで退却し、その後三重町を奪還しようとこの三国峠を占領して官軍と戦闘を開始し、失敗。守りを固めるもその後梅津城が陥落すると戦況が官軍側に傾いた。ある日薩摩軍が戦い疲れた眠っているところを、官軍は音を立てずに忍び寄り、突撃を開始、薩摩軍はまともに戦うこともできずに敗走した。

三国峠の山頂近くには、今でも台場跡や薩摩軍兵士の墓などがある。しかし、心霊現象が多発するのは国道326号線沿いの車道やトンネル付近である。ここは急な坂やガードレールのない急カーブ、見通しの悪い道などが続くため、多くの事故が起こる。また周辺の森では自殺者が多いという噂がある。三国峠にまつわる体験談には以下のようなものがある。

ある学生のグループは、興味本位で三国峠を車でドライブしていた。噂には聞くが、どうせ何も起こらないだろうと思っていたのだが、ある地点を通過しているときに、森の方向から人のうめき声が聞こえてきた。気になった彼らは、車を止め、懐中電灯を持って森の中をのぞいてみた。すると中から突風が吹き、一人がしりもちをついた。異常な雰囲気を感じた彼らは急いで車に戻って帰った。それからしばらくは何も起こらなかったものの、数日後に彼らのグループの中の一人が突然自殺してしまった。死体が見つかった場所は三国峠の森の中だったという。

また、ある心霊スポット巡りが好きな男性は、趣味のブログ掲載のために休日はいつも近隣の心霊スポットを回っていた。その日も三国峠を車で走りながらところどころ車を止めて写真撮影をしていた。ある程度撮影したところで、そろそろ帰ろうと車を走らせたところ、車のスピードがさっきよりも遅くなった気がした。これはおかしいと思ってアクセルを踏んだが、走るにつれてますます車が重くなる。故障だろうか、しかしこんなところでこんな時間にどうしようもないと、そのまま車を走らせ続けた。ある急カーブに差し掛かったときに時間は起こった。男性は車が遅いためにアクセルを底まで踏み込んでいたのだが、急に重さがとれてカーブに突っ込み、ガードレールもなかったためそのまま木の中に突っ込んだ。木までの距離が短かったため、幸い大事故になるほどのスピードは出ておらず、男性は一命を取り留めた。事故の処理などが落ち着いて写真を現像してみると、たまたま端っこに写っていた自分の車の天井にいくつもの白い影が写っていたそうだ。もしかしたら、西南戦争で死んだ戦死者の霊が、車の走行を邪魔し、事故へと誘い込んだのかもしれない。

別の話では、ある男女三人組が夜三国峠を車で走っているときに、何もないところで急に人が飛び出してきてあやうく事故を起こしそうになったというものがあった。例によって、その人はその後どこにも見当たらなかったそうだ。三国峠周辺は、地理的にも心霊現象としても事故が起こりやすいため、通過するときは充分に注意しなければならない。