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福井県福井市大瀬町6

日光ホテル

福井県は大きく分けて嶺北地域と嶺南地域の二つに分かれている。
日光ホテルは嶺北地方に位置し、115号線沿いは福井県福井市金屋町と呼ばれる町と下市町との間にその不気味なホテルは密やかにその姿を留めているのだ。

ここでなぜ115号線沿いをわざわざ明記したかといえば、
その道路の真ん中には不自然に一本だけ立つ松の木が有るのだが、
周囲の他の松は難なくチェーンソーにより切り倒されたが、どうしても
その松の木1本だけが、不思議と事故が起こったそうだ。自分の腕を誤って
切断してしまった工事従事者まで出てしまい、ついには行政府さえも
その松を切り倒す事を諦め、今でもその道沿いには松の木が一本だけ
不気味にそびえ立っている。

そのような曰くつきの場所、その松の伐採に従事した者が近くの日光ホテルに
宿泊して現場通いをしていたそうだ。とうとう切断される事はなく、
最後に切断を試みた現場監督は行方不明となってしまったのだが、未だ
その消息は不明なままなのである。これは事実である。ちなみに、
現在においてもその松の木は確認することができる。

そのような事故事件があってからは、日光ホテルは経営難に陥ってしまう。
祟りがあるという噂は、その松の木だけではなく、日光ホテルという宿泊施設
にまで飛び火してしまったのだ。間もなくして日光ホテルは倒産し、
ホテルといえども民宿程度の規模であったが為か、その経営者と家族は
潰れてからも、そのホテルを自宅としていたそうだ。

なぜ「していた」と過去形で記述したかというには理由があるのだ。
その家族は一家心中でこの世を去ってしまったのである。
現在においてもそのホテルは取り壊される事もなく、廃墟として不気味に
その姿を残しているのだが、例の松の木を伐採しようと試みた時に同じく、
そのホテルの取り壊し工事に関わった従事者に相次いで事故や不幸が起こったらしい。
ついには受注する業者は無くなり、今に至るまで取り壊しは行われていないのだ。

先日その廃墟と化した日光ホテルに足を運んでみたのだが、正面玄関は
大きな木材で打ち付けられており、正面から入ることは出来なくなっていた。
しかし、足を運んだからにはどうしても建物内に入らずには帰れない。
正面玄関がある場所から裏にまわると勝手口を見つけることが出来たのだ。
もちろん勝手口にも木材が打ち付けられており、まともに入る事はできなかったのだが、
どうやら先客が開けた様である、破れた窓ガラスから建物内に入ることができた。

勝手口付近から入ったので当たり前ではあるが調理場が最初に目に入った。
床は泥だらけであり、割れた食器などで大分に荒れているようであった。
すぐ近くに家族団らんの部屋らしき所があり、子供の玩具やゲームが散らばっており、
それが現実味のある怖さを感じさせ引き返そうかと思った程である。
階段もあり上の階にも行けるようであったが、赤いスプレーで文字とも見られる不気味な記号が記されており、私は恐くなり上の階へは後日伺ってみようと思う。
日も落ちてきたので、私はそれで引き返すことにしたのだが、
引き返す途中に建物の割れ目から吹き込んだ風の音が人の声のようにも感じられ、
その事を以前に同ホテルへ入った事がある知人に話すと、その知人もまた帰り際に
声のようなものが聞こえたと言っていたので、日光ホテルという場所は正真正銘の
心霊スポット いや恐怖スポットと言ったほうが正確であると言えよう。
もし福井県に訪れる機会がある心霊スポットマニアの方には、帰り際に声が聞こえるかどうかも確認して頂きたいものである。