香川県まんのう町造田県道17号線

首切峠

香川県仲多度郡まんのう町に、首切峠というおぞましい名前の心霊スポットがある。香川県仲多度郡まんのう町と綾歌郡綾川町境にある峠であり、標高は271メートルとそこまで高いわけではない。またその他の心霊スポットとなる峠のように険しい山道というわけでもない。

首切峠という名前は、1579年に長宗我部元親に攻め込まれた造田城の造田備中守宗俊の家来達が捕えられ、この峠で斬首された出来事からきている。このときに出た戦死者を慰霊するために「首切地蔵」が建立されたが、供養されきれていない霊がこの峠で出没し、目撃されているそうだ。首切地蔵には、「三界万霊・引化2年3月」と刻まれている。

首切峠周辺は、民家も少なく閑散としており、夜になれば真っ暗闇になる。車を走らせて数分で頂上まで辿り着くが、そのすぐ横に首切地蔵がある。ここで造田城の家来達が斬首されたのは1579年だが、実は首切地蔵が建立されたのは1845年とかなりあとになってからである。一説には、地元の住民は、長い間ここで死亡した霊たちに悩まされており、300年近くたってからようやく地蔵が立てられ、その霊も少しは供養されたのだという。しかし今でも、首のない落ち武者の霊が目撃される。

近年では、新しい道路が出来てこの首切峠は閉ざされているが、旧道の周辺には不気味なほど多くの祠や地蔵が置かれている。また首切地蔵ではない、造田城の家来が斬首される事件が起こる前から置かれている古い地蔵もある。これは、この事件が起こる前からこの峠で落ち武者の霊が目撃されていたことから、大昔に設置されたものだったそうだ。いずれにしろ、この峠には多くのいわくがある。

ある男性は、たまたま用事でこの首切峠を通過していた。すると道路の真ん中に立っている人がいる。危ないな、と思いながら車を止めた。車のライトが体にしか当たらず顔が分からなかったが、その格好はどう見ても現代人のものではなかった。不審に思いつつも外に出ようとしたところで、その男性は異変に気付いて、車に戻り、猛スピードでバックしてその場を離れた。その人間には頭部がついていなかったのだ。その後追われることはなかったが、逃げている途中にうめき声を聞いたそうだ。

別の体験談もある。ある霊感の強い女性は、友人と三人でドライブしていたそうだ。日も暮れてきたためこのまま帰ろうか、という話になったときに一人が近くに首切峠という心霊スポットがあるからそこを通ってみようと言い出した。霊感の強い女性は、それを聞いただけでそこに行くのは良くない、行かない方が良いと主張したが、友人は聞き入れず、勝手に車を走らせて首切峠についてしまった。どうせだからと、車を止めて首切地蔵を見ようと車を降りたところで、非常に重苦しい空気が漂っていることに、女性が気付いた。これ以上は本当に行かない方が良いと止めたが、友人の一人はどうしても言うことを聞かずにそのままどんどん進んでいった。

女性ともう一人の友人は、少しその場で帰ってくるのを待っていたが、30分ほどしても帰って来ない。これはおかしいと先へ進んで探してみたが、女性は見つからない。数時間探して見つからなかったため、警察に通報して捜索が行なわれたが、その後女性は結局見つからなかったそうだ。もしかしたら、首切峠に行こうと言い出した時点で峠の霊に誘われていたのかもしれない。首切峠は危険性の高い心霊スポットである。気安く近づくのはさけた方がいいだろう。