石川県河北郡牛首県道74号線
【牛首トンネル】
牛首(うしくび)トンネルとは、石川県河北郡津幡町牛首にあるトンネルである。
石川県と富山県の県境にこのトンネルは、正式には『宮島トンネル』と呼ばれている。
このトンネルには幽霊が出ると評判の心霊スポットとしてテレビ番組で紹介された事からいっきに噂が広まり、現在では県外からも多くこの心霊スポットに訪れている。
霊的な噂としては、お地蔵様が血の涙を流し、その首が消えるのを見ると死ぬ。車で通過すると老婆の幽霊が車に乗り込んでくる。また、追ってくる落武者の霊など多数の霊的現象が目撃されている。
また、このトンネルにあるそれぞれの噂にはそれぞれ根拠がある。
まず、『追ってくる落武者の霊』だが、実はこのトンネルのある牛首村は源平合戦の時、落ち逃れた平家の武士が隠れた場所でもあるのだ。そのため、未だにこの地域では平家再興を願って死んだ落武者の霊が彷徨っているとされている。
次に、『車で通過すると老婆の霊が車に乗り込んでくる』といった噂だが、どうやら過去にここで実際に老婆が自殺しているそうである。
その原因は、かつてこのトンネル内で殺人事件があった。だが、その犯人は後悔の念にかられたのか、同じトンネルで焼身自殺した。だが、その後この母親も強い恨みをもったまま、同じこのトンネルで自殺したと言われている。
つまり、この母親こそがこのトンネルに現れる老婆なのである。車に乗り込もうとするのは、このトンネルで死んだ息子の姿を探して彷徨っているのかもしれれない。
そして『血の涙を流すお地蔵様』は、恐らくこの場所に建てられた安全祈願の地蔵であろう。牛首トンネルは非常に狭くトンネル出口の見通しが悪い。また、冬になるとこの地域は豪雪地帯となるため、多くの事故が発生していたと思われる。また、過去にあった自殺事件の供養も兼ねていたのかもしれない。
だが、その地蔵が血を流しはじめたのは、この心霊スポットに訪れた人間達のせいだろう。
地元でもこの場所に霊が出ると噂になると、多くの若者がこの場所に訪れた。中にはふざけ半分にこの地蔵と記念撮影をする者もおり、そうした人々の誰かが、この地蔵の首を破壊してしまったのである。
その後、この場所には新たに安全祈願の地蔵が作られたのだが、それ以来この場所では『血の涙を流す地蔵』『首が消える呪いの地蔵』といった噂が流れはじめたのである。
また、この「牛首」という不吉な名前にも、ちゃんとした由来が残されている。
それは、この牛首村にある八坂神社で祭られている神が『牛頭大王』という神だからである。
牛頭天王は、牛の頭を持った人型の神であり、古代に陰陽師などによって伝承されるうちに、日本古来の霊信仰とむすびついて行疫神とみられるようになったとされる。
また、その霊力がきわめて強力であるがゆえに、逆にこれを丁重に祀れば、かえって災厄をまぬがれることができると解されて除疫神としての神格をもつようになったものである。
つまり、牛首とは魔除けの象徴であり、村に災厄がもたらされないよう付けられた名前なのである。
東北地方の都市伝説にある『牛首村』の場合は、村の木に大量の牛の首がつけられていたなどといったおぞましい逸話が残されているが、日本における『牛』の名のつく地名は、たいていこの牛頭大王の持つ除疫の願いが込められているのである。
しかし、この牛首トンネルにはかなりの疫が降り注いでいる。
これにも、なんらかの要因があるのか?もしや、極めて強力であるといわれる牛頭大王の力の暴走なのか?その理由は定かではないが、今だこの場所は心霊スポットしての地位を保ち続けている。
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