福井県南条郡山中県道207号線
【山中トンネル】
山中トンネル(やまなかトンネル)は福井県敦賀市にあるトンネルである。
このトンネルは福井県道207号今庄杉津線の福井県敦賀市と同県南条郡南越前町の境にあるトンネルである。
もともと旧北陸本線廃線跡を流用したトンネルであるため、内部は非常に狭くなっている。
直線で見通しが効くため特に交互通行用の信号機は設置されていなが、トンネル内での車同士のすれ違いは軽自動車同士でないかぎり、トンネル内部ですれ違いは困難だ。
こうした危険なトンネルである事からか、このトンネルに纏わる心霊現象も噂されている。
このトンネルで最も有名なのは、赤い服の女性が現れるといったもので、特にトンネル内のちょうど真ん中の辺りに出没すると言われている。
またトンネルを抜けた辺りに現れるという老人らしき霊の目撃談もある。これらの霊はかつて、このトンネルが鉄道線路だった頃、その列車の煙で死んだ村人の霊だとも言われている。
しかし、このトンネルの探索は非常に困難だろう。
辺りは民家もなく街灯もないため夜は真っ暗になりトンネル内の照明がわずかに灯っている程度である。トンネル内に車を駐車することはできないばかりか、トンネル内には歩道も無いため、歩きでの探索も危険を伴う。
赤い着物の女の霊といえば長崎の西海橋や、ただの心霊スポットかと思われていたのが、本当に白骨死体が見つかったという愛知県の著名な廃墟「千歳楼」などがあげられる。
他にも赤い服の女という霊の目撃談は、トンネルのみならず、全国どこの場所でも聞かれている。このトンネルの霊も、何処かの噂が伝搬し、いつのまにか定着してしまった類の噂の可能性が高い。
もうひとつきになるのは「汽車の出す煙で多くの人が死んだ」という噂である。
実際に村人まで死亡したケースはなかったが、実際に機関車の煙で死亡した事故は発生している。
1928年ににおきた北陸線柳ヶ瀬トンネル窒息事故では、トンネル内の上り坂で車輪が空転し速度が低下した結果、トンネル内に煙が充満し、出口から25メートル地点の所で走行不能になった。これにより乗客・乗員・機関士を含む12名が窒息。内車掌・荷扱手・機関助士見習の三名が死亡したとされる。
このように、当時の汽車はトンネル内で失速するとそれだけで煙による窒息死の危険性があった。とくに急こう配の峠や、狭いトンネル内ではこの可能性が高く、かつて鉄道に使われていた山中トンネルも同様にこの危険性は高かったであろう。
もしかすれば、このトンネルを抜けるときに煙によって死者が出ていたかもしれない。
そうして死んだ人々の霊がいまだこのトンネル内から出られず、暗闇の中を彷徨い続けているのだろうか。
しかし、このトンネルの歴史的価値は非常に高く、当時の文化を伝える歴史的トンネルともいえる。
トンネル付近に残されたスイッチバック跡(険しい山道を登るために、山の斜面にそってジグザグにひかれた線路)や落石防止シェッド(雪崩や落石、土砂崩れなどから線路を守るために作られた覆い)などが残されている。
また、現在は山中トンネルも落盤防止工事が施工されていて通年利用可能となっている。また、隣接する県との境目にある事から県内で最も重要なトンネルとも言われていたが、近代化の波にのまれ、今では殆ど利用されなくなっている。
しかし、冬季でも除雪作業などが行われ道路整備は常にされているためか、付近にすむ住民達の生活用トンネルとして、今でも現役で活躍している。
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