宮崎県日之影町七折日之影バイパス

青雲橋

宮崎県日之影町に青雲橋という橋がある。水面からの高さが137メートル、長さが410メートルあり、日之影町のシンボルとなっている。遠くから見てもその高さが分かる、綺麗なアーチ上の橋となっており、観光スポットとして有名だが、その高さから自殺の名所となっている。近隣では自殺者がもっとも多く、2005年から2011年までで15人が飛び降り自殺したそうだ。自殺防止のネットがとりつけられたが、それでも自殺者はあとをたたない。

心霊現象としては、通ったら足を掴まれる、引きずり込まれる、霊を目撃する、というものがある。しかし具体的な体験談は少なく、自殺の名所としては有名だが心霊スポットとしては、それほどではないようだ。体験談には以下のようなものがある。

あるカップルは、宮崎に旅行にきて観光スポットを回っていた。宮崎は自然が豊かで、様々な景観が楽しめる。カップルは、東洋一のアーチ橋と呼ばれる青雲橋にも行ってみることにした。いろいろなところを見て回ったため、青雲橋についたのは夕方になっていた。薄暗くなっていたため、下を覗き込んでも暗闇に吸い込まれるようで、川まではうっすらとしか見えなかった。しかし日之影町の町並みは、綺麗に見ることができたため、しばらく景色を楽しんでいた。

しばらくたって、女性は自分の足首に何かが当たるのを感じた。最初は風が洋服に当たってそう感じているのかとも思ったが、しだいにその感触ははっきりしたものになってきて、気になった女性はしゃがみこんで自分の足下を見てみた。すると人の手首から先が足首を掴んでいるのが見えた。あまりの恐怖に女性はその場に尻餅をついたが、その手の力は強くなるばかりで、さらに少しずつ橋の柵の方へ引きずろうとしてきた。

そこで恋人の男性が気付いて、駆け寄ってきた。女性は柵に押し付けられ、足は柵の外に出そうになってきた。男性が反対側に思いっきり引っ張ると、ようやくその手は消えてしまった。男性にはその手が見ていなかったようで、女性はしばらく恐怖で震え、涙が止まらなくなり声が出なくなったという。それほどの力で引っ張られたにも関わらず、手形などな残っておらず、結局何かの思い違いだろうと男性は言ったが、それ以降カップルは二度とこの場所には近づかなかったそうだ。

別の男性は、子ども時代から中学生までここ日之影町に住んでいた。子どもの頃から青雲橋は自殺者が多いという噂を聞いており、朝方にパトカーが下の川付近に集まっていることはよく目撃していた。その男性が中学生だったときだ。友人のAは、学校でいじめられており、学校にも来たり来なかったりだったそうだ。どこの学校でもあるいじめだが、その男性はいじめに加担するわけではなく遠巻きに見ていた。しかしこのAは、男性が子どものときから家が近く、心の中では内心なんとかしたいと思っており、時々他の友達には知られないように、Aの家に遊びにいったりしていた。Aにとっては唯一の友達だったのだ。

しかし学校でのいじめは日に日に激しくなってきて、男性も自分がいじめられたくないためにAの家にも行かなくなっていった。そんな日々が続いて数ヶ月後、Aから男性にメールが来た。夜の11時に、日之影川の河原に来いというものだった。男性は当初は行く気がなかったのだが、だんだん気になって結局11時少し過ぎに河原に行った。遅い時間だったため、周りには人はおらず、Aもまだ来ていないようだった。少し待って来なかったら帰ろうと思っていたときである。自分の数メートルは以後でバン!という何かが落下する音が聞こえた。びっくりして振り返ると、それは人間で青雲橋から飛び降りたのは一目瞭然だった。男性は数秒間の間何が起こったのか理解できなかったが、それがAだと気付いた瞬間、嘔吐し、その場で失神したそうだ。しばらくして男性は病院で目を覚まし、探していた親と警察がすぐに現場を発見し、運ばれたことを知った。男性はあまりのショックから、その町をすぐに引っ越したそうだ。