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グエムル-漢江の怪物 ポン・ジュノ監督

「殺人の追憶」が大ヒットした韓国が誇る才能ポン・ジュノ監督。この作品も韓国歴代動員記録を塗り替える大ヒット作品となった。国内外の映画祭でも評価されたが、日本ではヒットしなかった。韓流ブームと言っても、そういう人たちは韓流スターとかの解りやすい映画が観たいようなので、こういう映画らしい映画はダメみたい。
怪物のVFXを「ロード・オブ・ザ・リング」を手掛けた会社が担当していて、6億円もかかってるらしい。家族で長男の娘を怪物から救おうとするというなかなかぶっ飛んだ設定で、計画性もなく怪物に向かっていくから、ちょっと笑えてくる。パニック・ムービーのようで家族のドラマでもある。でも、誰も想像しないラストを観て、こういうひねくれた監督が韓国にもいるんだと嬉しくなった。
怪物のデザインやストーリーが、劇場版「WXⅢ 機動警察パトレイバー」に類似しているとして、パクリ疑惑が韓国でも騒動になった作品でもある。
確かにパトレイバーのストーリーそのまんまな気もする。日本の映画監督を尊敬していると公言してる監督だし日本のアニメも好きで、模倣しちゃった可能性はあるだろうな。
主人公のカンドゥを演じたソン・ガンホ。「シュリ」「JSA」「殺人の追憶」などのヒット作に出演する実力派。韓流スターみたいな華やかさで売れてるタイプじゃないので、好感が持てる俳優だ。ナムジュを演じたペ・ドゥナは、日本映画にも出演している女優。是枝監督の「空気人形」は最高だった。好きな韓国女優だな。
なかなか理解しづらい展開で、ちょっと笑っちゃうし、ベタな展開が好きな人には受け止めきれないかもしれない。でも、この作品は実際に米軍が漢江に劇薬を流出させた事件をベースにしているアメリカ批判の作品だ。エンターテイメントに仕上げつつ、監督の個性を出しつつ、アメリカ批判という政治的メッセージを盛り込んでいるのは、すごいことなんじゃないかな。