物語としては非常にシンプル。
森の中に人間を襲う「モンスター」が住んでいて、若者たちを襲い無残に殺していく。
が、シンプルだからこそ面白く作るのは難しい。
ホラー映画の基本とも言うべき物語展開。
面白く作ろうとして、単にグロいばかりになってしまうことはよくあること。
しかし、この映画はそうではなく、緻密さ、繊細さにこだわり、神経をザラリと逆なでするような作りとなっている。
「モンスター」から身を隠すクリスたち。いつ見つかるかとハラハラするシーンだが、この映画では、息を殺し隠れるクリスに向かって、仲間の血がゆっくりと流れていく様子を映し出している。
仲間の血が今にも自分の体に付着しそうになる。
これは、「モンスター」に気付かれるかもという恐怖心だけでなく、みずからも血を流すことになるかもしれないという恐怖心も煽っている。
静かだけれども、静かだからこそジリジリと恐怖を覚える。
また、この映画では森を横に移動するだけでなく、縦にも移動させていたのが面白かった。
森が立体的に使われているのだ。
木の上を移動することによって、高所という不安定さも加わっている。
面白いアイデアだ。
「モンスター」の武器が弓というのも面白かった。
「モンスター」の目的は殺戮ではなく狩猟である。
人間は森の中では獲物でしかないのだ。
日ごろ、他の動物を獲物としている以上、
自分よりも強い動物に狙われるのも仕方がない、そう思ってしまった。
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