ハンニバル・レクターの過去についての物語。
客観的に考えて猟奇的であり狂気的な殺人鬼の過去を描くのはあまりして欲しくない事である。
狂気的殺人鬼はミステリアスだからこそ怖いのであってしかも今回のハンニバル・レクターという人物は役者のアンソニー・ホプキンスの素晴らしい演技がハンニバル・レクターという人物を究極的なまでにミステリアスにしていた。
それを壊してしまうというのは明らかな挑戦でもあるのだが、確かに興味を示さない訳にもいかない。
そして蓋を開けて観る。
するとやっぱり…な映画。
まず、ハンニバル・レクターがドイツ人だったことに多少なりとも驚き、戦争の被害という事件をもって彼を狂気的殺人鬼にしてしまった。
狂気的殺人鬼の過去を戦争の被害という事にしてしまうのはありきたり過ぎてとても残念。
やはり狂気的殺人鬼はあくまでミステリアスであって欲しかった。
しかも映画としても面白くない。
ハンニバル・レクターがただひたすらに復讐をしていくだけで、彼の狂気的部分を前作シリーズ以上に出し切れていない。
ただ妹殺しの犯人を探して殺していくだけの映画、としか映らなかった。
確かにハンニバル・レクターの狂気的なまでの殺人方を描こうと努力は観られるものの、あのアンソニー・ホプキンスを生み出したのがこんな過去であって欲しくはなかった。
もっとエグく、もっとグロテスクに、もっと非人道的に描いても充分によかったんじゃないかと思えた。
しかし今回若きハンニバル・レクターを演じた役者さんが思っていた以上に素晴らしかった。
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