「ディアボロス」、悪魔のお話。
人の欲は止まるところを知らない。
富、名声、それらを追い求めるうちに、人はいつの間にか悪魔の手の内に落ちていく。
そして最愛のものを失うのだ。
徐々に現実感を失っていく世界描写に引き込まれていき、最後には人っ子一人いない大通りのシーンへと移る。
その大通りを主人公は高層ビルの弁護士事務所へと歩いていく。
現代の神、それは「法」。
人は昔、教会へ赴きそこで聞いた神の言葉に従った。
今、人を縛りコントロールするのは法律。
そして悪魔はこの法曹という世界で暗躍する。
「神はサディストだ!」という悪魔の言葉。
神が人間に課してきた様々な制約ーそれが道徳。
「見ろ、だが触るな」
「触れ、だが味わうな」
「味わえ、だが飲み込むな」
悪魔はこの道徳を、自分専用の喜劇を観ようとした神が人間を右往左往させるための舞台だと言うのだ。
そして悪魔は、自らこそが最後のヒューマニストだと言う。
欠点だらけの人間を、あるがままに受け入れる存在なのだと。
およそ悪魔らしからぬ悪魔と対峙し、彼の論説に思わず引き込まれそうになった主人公が最後にとった手段とは…。
だがやはり、人は己が欲を消すことはできないのだ。
エンディングロールで流れるローリングストーンズの「Paint It Black(黒く塗れ)」も名曲。一度じゃ理解しがたいので3回観ることをお薦めします。映像が美術品のような感じで観賞用によい。
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