プリースト 掘り下げ方が不足

ヴァンパイアがはびこる世界で、教会によって隔離された街に住む人類。
対ヴァンパイアのスペシャリストとして鍛えられた戦士【プリースト】の云々・・・この手のテーマを掲げた作品は非常に多い。世界観や雰囲気好きなんだけれど、いかんせん隔離された街とか、プリーストの生い立ちとか、なぜヴァンパイアが発生したのかとか、その辺のだ。中途半端感が否めない。同じようなテーマの作品なら、『ドゥームズ・デイ』や『イーターズ』の方が見応えがあるかと。悪くは無いんだけどね・・・ただ韓国の漫画家・ヒョン・ミンウのグラフィックノベル[PREIST]。SFと西部劇を強引にミックスしたような世界観は楽しい。ディストピアを支配する教会はヴァンパイアの復活を認めようとせず、超絶的な力で人類を守ったプリーストたちをいまや無用の者としか考えていない。
権力と偽りの平和の上にあぐらをかき危機から目をそらす彼らの命令を無視して、プリーストが城壁の外へ出てからは、ヴァンパイアとの壮絶な戦いが徹底したアクションで描かれる。プリーストとその仲間の悲哀が冒頭に描かれるが、映画のキモは、徹底したビジュアル重視のアクションだ。
香港映画も驚くほどの圧倒的なファイト・シーンは黒尽くめで長い上着の司祭ルックにぴったりとフィットしている。額の十字架の手裏剣のようなものが宙に舞うシーンは美しく刺激的だ。ヴァンパイアを操る黒幕の正体にさしたる驚きはないのだが、新たな戦いの幕開けを予感させて終わるラストは、映像派のスチュワート監督の意欲の表れだろう。。演技派でありながら必殺のアクションもなぜか似合うポール・ベタニー。今回もまた、痛みが似合う“ M "のイメージ、全開だった。