吸血鬼物なので、一般的にはホラーのカテゴリに入ると思いますが、この作品は悲恋の物語のように思います。
カトリーヌドヌーヴが吸血鬼、デヴィッドボウイがドヌーヴに血を吸われて吸血鬼になった男スーザン・サランドンは、エイジング/アンチエイジングを研究する医師の役です。まず、女性が吸血鬼っていう設定が、面白いですよね。
カトリーヌ・ドヌーヴは凄絶な美しさです。知的でありながら退廃的、謎めいた大人の女性でありながら話すとフランス語なまりの英語がかわいらしい..。
古代エジブト時代からの美術とクラッシックを愛している..。
デヴィッド・ボウイも美しいですが、彼の役は「永遠の命をあげる」と言われてドヌーヴに吸血鬼にされてしまう青年です。永遠に若いと思っていたら(吸血鬼にされたあとで寿命があることを教えられた)、突然急速に加齢するという役で、どんどん老いてゆきます。この変化もすごい。
スーザン・サランドンはボウイが相談に行った医師で、研究対象としてボウイを追って家を訪れドヌーヴの吸血鬼と対面する。サランドンは「真夜中の向こう側」以来の美しさです。
ドヌーヴの吸血鬼は、ボウイの寿命?がつきるのを見越して、あたらしい美しいパートナーとしてサランドンを狙います。そして...結末はお楽しみ。
衣装もインテリアもセンスいいです。思わず部屋に、白いレースのカーテンを掛けたくなりますよ。
全編を通して流れる、シューベルトのピアノトリオOp.100の第2楽章の旋律が心に染み入ります。
ドヌーヴとサランドンの妖しい関係を暗示するドリープのオペラ「ラクメ」の中で主人公のラクメと侍女のマリカが歌う二重唱(フラワーデュエット)もドキドキします。