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吸血少女対少女フランケン 最強

ストーリーは学園に転校してきた謎の美少女に告白される主人公。しかし彼女の正体は吸血鬼だった、というまぁベタなボーイミーツガールです。が、冒頭からかっ飛ばしてまぁ血の吹き出ること吹き出ること。その後もギャグテイストで悪乗りしたアクションシーンで実にくだらないの一言(褒め言葉)。
しかし好き者ゆえにちょっと辛口に。まず監督のやりたいことがあまりに一方向過ぎて、正直映画としては未完成と言わざるを得ません。とにかくスプラッタなアクションが撮りたい、という気持ちが先にたちすぎて、ストーリーやその他のシーンの作り込みがいい加減すぎるのです。馬鹿馬鹿しいギャグや設定をアイディアとして思いつくまではいいのですが、思いついたまでで満足してしまい、足りないものの付けたしや、映画としてまとめるのには余計な贅肉部分の削り出しがまったくされていない。ホントに撮りたい物を撮りたいように撮っただけの、ただの映像群の域を出ていないのです。
そのせいで、面白いはずのアイディアが驚きの瞬発力を失ってしまい、間延びしたシーンになっている箇所が多々あります。逆に興味が向かず作りこみの甘いままになっている脇キャラの見せ方などは、説明的なものだけとって付けたように挟み込むので、必要なのかどうかも不明な無駄なシーンになってしまっています。そういう全体的な煮詰め足りなさが、内容の物足りなさと尺の足りなさという相反する否定的要素を同時に感じさせてしまうのです。
同じようなジャンルの監督でも、『ロボゲイシャ』の井口昇監督はそういう端々までの作りこみに手抜きがなく、馬鹿な映画を本気で撮ってやろう、という頭の悪い意気込みが面白さとなって全体にあふれているのですが、残念ながら、この作品にはまだその凄みが感じられませんでした。個人的な感想としては、映像や設定部分で遊ぶのであれば、ストーリーはもっとシリアスにまとめてしまったほうがメリハリがついてよかったと思うのですが。ラストシーンのかっこよさを観るに、そういうのが嫌いなはずはないのでしょうが、あまりシリアスすぎるのには照れのようなものがあったのかも知れません。
馬鹿映画大好き、という気持ちは間違いがなく、その部分に関してはしっかり楽しめた作品です。