アメリカンナイトメア インタビュー

時代を斬った70年代ホラー!
ホラーファン必見の傑作ドキュメンタリー!
ホラー映画の定番、70年代アメリカンホラーの真髄に迫ったドキュメンタリーの傑作である。60年代から70年代にかけて、アメリカではエポックメイキングなホラー映画の名作が続々と誕生した。
本作では名作を世に出した監督たち、そして研究者らがインタビューにこたえ、これらのアメリカンホラーがいかに時代の産物であったかを解き明かしている。
ベトナム戦争・公民権運動など、アメリカが揺れ動いたあの時代。いかがわしいと後ろ指さされたホラー映画の創り手たちも、時代の影響は当然のように受けた。
ジョージ・A・ロメロ監督の『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』『ゾンビ』、トビー・フーパー監督の『悪魔のいけにえ』、ジョン・カーペンター監督の『ハロウィン』、ウェス・クレイヴン監督の『鮮血の美学』等々の問題作は、いわば「歴史的所産」なのである。
ホラー映画の監督たちは、“ホラー”というレッテルにつきまとういかがわしさを逆手にとって、一般映画ではできない過激で野心的な表現にも挑んでいた。
その最たるものが甦った死人が生きた人間を襲う『ナイト~』『ゾンビ』だ。監督ジョージ・A・ロメロは『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』には当時の公民権運動の影響があったと証言。また、『ゾンビ』の特殊メイクを手掛けたのは実際にベトナム戦争に従軍し、戦場で惨死体を見尽くした男トム・サヴィーニだ。本作にはこのテの興味が尽きない証言がぎっしり詰まっている。
歌は世につれ、世は歌につれ……なんて申しますが、ホラー映画もまたしかり。マニアだけでなく、見れば実にタメになる内容なので、『プロジェクトX』とかが好きなオジサンも必見であります。
ちなみに、本作は元々はインディペンデント・フィルム・チャンネル(IFC)というユニークな自主製作映画専門チャンネルで放映されたTVドキュメンタリー。
監督や研究者らの証言に加えて、当時のニュース映像と名作ホラーの名場面を巧みに編集した構成ぶりが実に見事。
シュトックハウゼン等シリアスな楽曲を印象的に使った音楽も聴きごたえあり。73分と短いが内容は充実!