フッテージ 結構面白かったのに

それまで結構面白かったのに、あるシーンが登場した途端、一瞬にして何もかもがどうでも良くなってしまう映画があります。
自分にとってはこの映画がそうでした。
それまでも嫌な感じ(映画の中での不吉さとかではなく、もしかしてクソ映画なのかも・・・!という恐怖のこと)がちょっとずつ感じられはするのですが、そのシーンを観た瞬間に一気に決壊し、その後は「分かったから、出来るだけ速やかに退去するように。」という気持ちで映画に臨まなければならなくなるのです。
序盤から中盤は結構いい雰囲気だったりします。
主人公が引っ越し先で8mmフィルムを見つけるのですがこの内容がなかなかに禍々しい雰囲気満点。
「世界の恐怖映像!超凄い!ありえない春の絶叫祭り最強SP」とかの番組で採用されそうです。
しかも、これが何本も登場するので「次はどんな映像なんだろう?」という興味で引っ張っていくのです。
さらに、主人公はこれらの映像をスローにしたりドアップにしたりして調査をするのですが、そこに異常な存在を発見!
ミステリー的にはグッと盛り上がるところですが・・・。
この存在のルックスがもう・・・。
それはダメ・・・!という、しょうもない感じなんです。
ああ、これは思ったよりやばい事態に・・・(映画の中ではなく、自分の身に)と思い始めた瞬間・・・。
「志村、うしろうしろ!」ドリフのあの名コントに明らかにインスパイアされたような、ショッキングなシーンが遂に、僕に襲いかかりました。
この映画が完全に自分の中で終わりを告げた瞬間です。
結局、忌まわしい映像のアイデアのみで見切り発車したあげく、色々な映画のパーツを寄せ集め、どうにか映画に仕立て上げた程度の作品のため、これまでの様々な事象についての落とし前なんて何も用意していません。
もう中盤辺りで集めた入場料をポケットに詰め込み、観客の様子を窺いながら逃走の準備を始めているような感じです。
アホらしい!という思いで胸がいっぱいになりましたが、すべては後の祭り。