気狂いピエロの決闘 イメージ先行

この映画の冒頭で、ピエロを見て子供たちが狂ったように笑うというシーンがあります。
でも、そんなに面白い事をやっているようには見えません。
そもそも、ピエロがそんなに面白い事をするとは、誰も思っていない気がします。
「なにかユーモラスな事をしている、という事を伝えようとしている」と気付かせる程度です。
とはいえ、やっこさんの格好を見てください。
ド派手な衣装に気合の入ったメイク。
「サァ、笑ってください!面白いことだけをしますよ!」という強引な主張をビンビンに感じます。
こうなると、もう面白いかどうかなんて二の次で、とにかく笑わないといけないんじゃないかという義務感が観ている側に生じてしまうのです。
面白くはないが、タイミングだけは分かるので、スイッチを入れたように笑う。
これを繰り返していると、だんだんトランス状態になって、狂ったように笑いだしてしまうのかもしれません。
この映画は本当にアングラ感満点の、ハチャメチャな映画なんですが、軸となるお話は非常に古典的なものです。
2人の男が1人の女を取り合って、対決する。
地方のガソリンスタンドのバイト同士でもよくある程度の、ありがちなものです。
街中で銃火器をブッ放したり、鳥を咥えたり、アイロンで「真似してはいけないこと」をしたりと、奇抜なシーンの連続で、「どうしてこうなった」と常に思わされました。
とにかく、常にハイテンションなのは間違いありません。
圧倒されます。
グロテスクなピエロ同士が対決する、というイメージ先行で作られた気がします。
お話の構成よりも、ビジュアルを優先した結果なのでしょう。