盛大なキャストの中、主役を張るのはダニー・トレホという「インディアンの焼死体」みたいな顔の男です。
通常の映画であればチンピラの親分役で冒頭に登場し、タイトルが出る前に主役に惨殺されるのが相場ですから、かなり変わった配役であるといえます。
この映画ではこんな「玉突き事故でグチャグチャに潰されたトレーラー」みたいな破損顔のダニー・トレホが、まるでジェームズ・ボンドみたいな色男として色んな女性とイチャイチャしたり性行為に及んだりします。
確かにケンカ(というか人殺し)も強いし、マカ・マムシ・ニンニクなどと並んで精力剤の成分になりそうなほどの絶倫ぶりも期待できますが、「アルマゲドンで地球を襲った小惑星」みたいな岩石顔でこんなにモテますかね?
まあ、そのへんは笑うところなんでしょうが、ジェシカ・アルバとキスするシーンでは通報しそうになりました。
冒頭から独特のセンスの映像と音楽で、一気にグラインドハウスの世界に突入します。
軽快なテンポで、主人公が後に復讐するための前フリが描かれますが、これが結構酷いです。
とにかく、本人は人を殺すか女とヨロシクやるばかりなのに、彼の関係者は軒並み殺されていきますからね。
これは気合の入った復讐が見られるぞ、と期待が高まります。
ところが、メキシコからの不法移民達も彼の仲間になり、みんなで汚い奴らに復讐だ!と攻め込む展開は熱く、どんな派手なクライマックスが待っているのかと思うと、意外に最後は盛り上がりません。
この理由として、いろんなキャラをたくさん出しすぎ、それらに見せ場を作ろうとした結果なのかもしれませんが、悪玉の多くはマチェーテ自身には殺されないからじゃないかと思います。
終盤ではセガールとの一騎打ちもありますが、これもすぐに終わってしまい、観ている方はなんか消化不良な気分です。
これならマチェーテに対してあそこまで怒らせるような酷い仕打ちをする必要があったのか?と思いました。
デニーロの最後に関してはあれで良かったと思いますが。
ただ、全編を通して見せ場の連続で退屈することは一切ありません。
半分はコメディーなので笑える場面も多く、非常に楽しい映画であることは間違いありません。
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