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怪談新耳袋 殴り込み 薄汚れた男のロマン

怪奇現象や心霊に強い興味を持つ純真な子供が、1ミリも成長しないで大人になり、日本全国の怪奇スポットに突撃するというドキュメンタリー作品です。
ホラー映画の記事が多いという理由で僕も愛読している「映画秘宝」のライターや、ホラー映画監督、漫画家といったいずれも30.40代の大人の男達ばかりが登場し、「オバケ怖いよ!」とか言って本気でビビリまくる映像ばかりが納められた本作は、見て怒る人も少なくないと思います。
しかし、僕は非常に興味深く最後まで楽しめました。
笑えて、怖くなる部分もありました。
僕も彼等と同じく、大人になりきれずに中年になってしまった男だからでしょう。
最近では少なくなりましたが、以前はよくテレビでもこの手の心霊特集が放送されていました。
パッとしないアイドルとかが霊能力者とともに怪奇スポットに赴き、「ここには恨みを残して死んでいった数多くの霊達がウジャウジャしてます。オラ、そこにも!」「ギャー!」「背中にもいるよ!」「ヒー!」「ウワー、体チョーダルいんですけど!」「グェー!」とかやるわけです。
しかし、僕にはイマイチ楽しむことが出来ませんでした。
なんか用意された感がいっぱいだし、霊能力者とか言ってる人も胡散臭くて、「こんな人が玄関に来て妙な説教をしたあげく、壷や深層水を売りつけてきたらイヤだな~」と思ってしまって集中できないからです。
しかしこのDVDに登場するのは「面白そうだから」というピュアな気持ちだけで怪奇スポットに潜入する自分のような中年男性ばかりですから、とても感情移入できました。
まさにここにあるのは、正常な社会生活を送るのにはまったく必要の無い、薄汚れた男のロマンなのです。