「悪魔のいけにえ」でお馴染みタブ・フーパー監督のホラー映画です。
とにかく、冒頭から流れる異常な電子音楽がすごいです。電子楽器の扱い方を知らない人間が、怒りに任せて無闇に鳴らしただけのような音で、聴いた誰もが不快になります。
もし友人が持ってきたデモテープにこんな音が延々と入っていたら、「すごいね!どんな機材を使ったらこんな音が出るの?」等と興味のあるフリをしながらも、「心に問題のある人なんだな。」と冷静に思うでしょう。
もちろんこの映画は宿屋の親父をはじめ、心に問題のありまくる人々が大挙する内容な為、これで正解なのです。
宿屋の親父が狂っていて、客を殺してワニに食わせているというだけの話です。とにかく宿屋の親父のキチガイっぷりがすごい、というかそれだけで終わる内容とも言えます。
前作の「悪魔のいけにえ」とは違い、閉塞感を感じるチープなセットの中だけで話は進みます。映画というより舞台を見ている感じです。ホスト役のキチガイの家にさまざまな人が訪れて、ひどい目に遭うという流れは「徹子の部屋」に近いかもしれません。
しかし、冒頭で登場する家族の父親のキチガイっぷりも負けてはいません。愛犬がワニに食われて、ショックで寝込んでいる娘に向かって「ワンワン!」と狂った様に叫んだりする姿に、家族とは一体何だろうという気持ちになります。
映画としての完成度は、お世辞にも高いとは言えません。特に名作「悪魔のいけにえ」と比べれば、がっかりする人が少なくないのも仕方ないと思います。
しかし、こんな異常なテンションの映画はなかなか見れません。