そもそものこの映画を見ようと思ったきっかけは、アメリカの街中で見かける宣伝ポスターとテレビのCMが印象的だったからです。もちろん、何回も見たからというのもありますが、それ以上にCMとは思えないほどの臨場感が画面を通してひしひしと伝わってきたからです。数々のホラー映画を見てきた私でも「この映画は一味違う!」と感じたほどです。気になってからはすぐに見ましたが、結論から言わせていただくと少しがっかりではありました。
序盤から謎の幽霊のようなものがチラチラと映り、視聴者の恐怖心を煽る演出は他のホラー映画と同じでしたが、逆に後半までひっぱりすぎてもどかしさを感じました。それに加えてやっと幽霊が出てきたと思ったら、思ったよりも普通にあっけなく登場したため拍子抜けでしたし、しかも登場シーンの後はその幽霊は姿を一切隠さずに画面に映っていたため幽霊という感覚が薄れ、どちらかと言うと「登場人物のうちの一人」というような目線で見てしまいました。
また、全体のストーリーに加えて登場人物の心情の変化に関する描写が少し荒い気がしました。主人公の一人が考えを変えるという流れの中でも、考えが変わったきっかけとなる場面はうつされていましたが「え、そんなにすんなりと心変わりできるの?」と思うほどあからさまに行動を変えるので少し戸惑いました。少しくらい「考えを変えていいのか」と戸惑っている描写があった方がリアルでよりよかったのかなと思います。また、主人公の心情の変化が速いことからもストーリー全体のスピードが思ったよりも早く、時間内に収まるようにストーリーを焦って作ったのかなと思ってしまいました。
見る前の期待度が高かったことに加えて、幽霊が幽霊という枠を超えてもはやSFもののキャラクターのように表現されていた点や、ストーリーの作りこみ具合が甘いと感じたことを鑑みると、暇つぶし程度に見るのが一番だと思います。