1959年に中川信夫監督によって作られた、日本の怪談映画の最高傑作です。四谷怪談は日本人なら誰でも知っている話ですが、恐ろしくも美しく悲しい物語を完璧に映像化することに成功しています。主人公は浪人の伊右衛門とその妻のお岩です。江戸に出てきた夫婦でしたが、伊右衛門は旗本の娘お梅に気に入られたため、お梅と結婚しようとして、妻のお岩が邪魔になってしまいます。そして、お岩に毒を飲ませるのです。夫に盛られた毒のため、髪の毛が抜けて、顔に腫瘍ができたお岩は、秘密を知って自害して果てます。伊右衛門は、罪の意識を抱くどころか、お岩に密通の罪を着せて、死体を戸板に打ち付けて川に流してしまうのです。
ところが、伊右衛門は、お岩の亡霊にとりつかれてしまいます。お岩の亡霊は、自分を化け物のような姿にして、自害に追いやった夫に復讐をしようとします。伊右衛門は、お岩の亡霊に襲われて狂乱し、お梅と祝言をあげますが、そのお梅を斬殺してしまいます。伊右衛門はお岩の亡霊に追いつめられ、さらに、お岩の妹のお袖らが伊右衛門を殺して、お岩のかたきを討つことに成功します。恨みを晴らすことができたお岩は、もとの美しい姿に戻ってあの世へと旅立ちます。
お岩の顔が変わっていくところは本当に恐ろしいです。そして、いわゆる「戸板返し」の場面の迫力も大変なものです。歌舞伎などでは有名な場面ですが、映像化に成功したのはすごいことだと思います。恐ろしくも美しい映画だと思いました。
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