"ホラー映画と言えば、井戸から這い上がってくる貞子の姿を思い出す方は多いのではないのでしょうか。この有名なシーンは『リング』のワンシーンで、リングシリーズの呪いの元凶である山村貞子が呪い殺す時のシーンです。
リングはVHSビデオを媒介にして人を呪い殺す山村貞子を中心として展開されるホラー映画で、ホラーの王道的な演出も多く、特に時間的恐怖を上手に演出しています。
呪いのビデオを見てから約一週間という短い期間の中、どれだけ真相にたどり着けるか、その時間的な閉鎖空間を作り出すリングは、同系統のホラーである『呪怨』とは対極の存在にあるもので、呪怨はオムニバス形式を採用し空間的な恐怖を演出しますがリングは全く逆です。時間軸を一つにまとめることで、より良い時間的閉鎖を演出し、逃げ場のない状態を出来る限り作り出す演出は現代のホラーに引けを取りません。
時間軸を一つにまとめたことでストーリーの接合性が高くなり、より物語として成立するように配慮されているので、細かくなされている設定が十分に生きるので、ホラー映画の中でも比較的見やすい部類に入ります。
グロテスクさはないものの、被害者を呪い殺す瞬間は非現実的で実に猟奇的。他のリアリティとのギャップを上手に活かした演出方法で、とにかく飽きが来ません。物語自体も回りくどさがなく、苦肉の策とは言え主人公も助かることからバッドエンドが苦手な方でも十分に楽しむことができるバランスの良い良作といえるでしょう。"
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