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仄暗い水の底から 水と閉鎖空間を用いたホラーの最高傑作

2002年公開の映画『仄暗い水の底から』は水と閉鎖空間をテーマにしたホラー映画で、公開から大分たった今でも絶大な人気を持っています。

物語は離婚調停中の主人公、松原淑美が娘と共に新たなマンションに越してきたところから始まり、松原と娘の周囲で起きる怪奇現象を主に描いているもので、とにかく水と閉鎖空間という二つの恐怖のテーマを上手に使って恐怖を演出しています。

特に後半の濁流を用いた恐怖の煽り方は現代のホラーにはない凄みがあり、逃げられない閉鎖空間と相まって生理的恐怖を強く感じさせるものとなります。

この映画は、鈴木光司のホラー短篇集である『仄暗い水の底から』の一つである『浮遊する水』というものを映画化したもので、短篇集ということも相まって1編のみの映画化となったのですが、ひとつの物語にしても違和感のないようにまとめられていて、ストーリーもとても簡潔で上手にまとまっているので、ホラー映画にありがちな複雑性は薄い作品になっています。

その代わりに水の滴り落ちる音や畝りを上手に使って簡潔ながら強い恐怖感を与える演出が魅力です。

ストーリーそのものも簡潔ではありますが、ひねりのあるものとなっていて、見ていて退屈しない作りになっているので、他のホラー作品から比べても非常に見やすいものとなっています。

ただし映画そのものが古いので、画質などではやはり劣ってしまいます。機材にも依存しますが音質も良い方ではなく、画質などを重視する人は少し見づらい可能性もあります。ですが、それらを差し引いてもとても良く出来た作品にまとまっています。