赤い影 繰り返しみたい映画

イギリス人のジョンは、教会の修復を生業とし、仕事のためヴェネチアに妻とともに滞在している。夫婦は、かつて愛娘を事故で喪っていた。

ある日、偶然立ち寄ったレストランで知り合った霊感のあるという女性に、死んだ娘の姿が見えると言われる。娘の死から立ち直れずにいた妻は、それ以降その女性と親しく交際するようになる。霊感のある女性に死んだ娘の霊媒を依頼した妻は、死んだ娘が、ベニスにいると夫の命が危ないと警告していると聞かされるが…。

とにかく何もかも誰も彼もが怪しく、不吉なイメージを持って描かれている。登場する人のまなざし、ヴェネチアの街に響き渡る声、そして川に流れる水、全てが不吉な色を湛え、何か思わせぶりな表情を持っている。結局結末は意外な方向に向かい、主人公の周りに散在していた怪しい影がすべてそこに収斂するものであったことが分かる。とは言え、合理的に考えると分からないことだらけで、この映画はその怪しげな雰囲気を楽しむための映画なのかなと思われる。一度見ただけでは分からないメタファーがいっぱい散りばめられているように思うから、繰り返しみたい映画ではある。

とにかくヴェネチアの街が美しくも怪しくて、行ってみたくなった。水に囲まれ、水に沈んでいく街。この街に来たことが主人公にとっては必然であり、彼の結末は運命づけられていたということか。

しかし、どうしてスペイン語の部分、いっさい字幕がないのか。

かなりスペイン語で会話する部分があるから、本当は字幕が欲しいところ。